2019年12月01日号
次回12月16日更新予定

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スナップショット

Snapshot

早撮り、瞬間撮影のこと。もとは狩りの早撃ちなどに用いられていた言葉だが、1860年に天文学者で科学者のジョン・ハーシェルが、10秒ほどで写真を撮影する技術について、「まるで“スナップショット”のようだ」と評したことから、写真の早撮りに対してもスナップショットという言葉が用いられるようになった。1880年代に入って手持ちで撮影できるカメラが実用化されると、アマチュア写真家がスナップショットを撮り始め、また1920年代以降、ライカなどの小型カメラが登場し、フィルムやレンズの改良もなされ、さらに手軽にスナップショットを撮ることが可能となった。キャンディッド・フォトと呼ばれる手法も、こうした変化のなかで生まれた。日本では、初期には「スケッチ写真」という呼称が用いられることもあったが、やがて「スナップ」や「スナップ写真」といった呼称が定着。新興写真から報道写真、リアリズム写真運動といった流れでのなかで多用されたほか、一般家庭へのカメラの普及とともに、アルバム用の写真などにもスナップショットの手法が浸透していった。70年代以降になると、ジェフ・ウォールやヴォルフガング・ティルマンスのように、スナップショットを模したセットアップ写真を、いかにもスナップショットであるかのように提示する写真家たちが登場。「瞬間をストレートに捕えたもの」というスナップショットの概念に揺さぶりをかけた。また、肖像権に関する意識が高まり、街中で気軽にスナップ撮影をすることが難しくなるなど、スナップショットをめぐる状況はつねに変化し続けている。

著者: 冨山由紀子

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