2019年06月15日号
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セルフビルド

Self-build

住宅を自分自身で建てること。一般的には、主に施工費および材料費のコスト削減というメリットが考えられるが、時間的制約、費用対効果という面も含め総合的に考えると、必ずしもそれが有意とも言いきれないだろう。むしろセルフビルドという方法について考える際には、住宅ができるまでのマネージメントを、利用者である自分たちの手元に取り戻すという、建築生産プロセスに関する意義や、意匠面における実験精神に注視すべきである。建築史上においては、《シュヴァルの理想宮》や《沢田マンション》等の重要なセルフビルド作品が存在するが、現代において最も精力的にセルフビルドの概念を思考し拡張している建築家としては、石山修武が挙げられるだろう。《幻庵》や自邸の《世田谷村》を代表とした一連のセルフビルド作品には、倉田康男主催の高山建築学校での経験や、師と仰ぐ川合健二の影響が反映されているものの、そのキッチュとも言える近代建築言語から逸脱した独特な意匠は、空間を言語表現に翻訳するという近代建築の本質に対する批判としての意義が色濃く示されている。また、計画した住宅をすべてパーツ化し、それらのコストも一覧表として意識的に公開することで、住宅を取り巻く価格構造のいびつさを指摘するとともに、オープン・システムという技術的論理を背景としたオルタナティヴを示すことを長年にわたって試みている。

著者: 渡邉宏樹

参考文献

  • 『セルフビルド SELF-BUILD 自分で家を建てるということ』, 石山修武, 交通新聞社, 2008
  • 『10+1』No.41, 特集=実験住宅, INAX出版, 2005
  • 『高山建築学校伝説 セルフビルドの哲学と建築のユートピア』, 趙海光、高山建築学校編集室, 鹿島出版会, 2004
  • 『新建築臨時増刊 建築20世紀 PART2』, 新建築社, 1991

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