2019年06月15日号
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ソヴィエト非公式芸術

Неофициальное искусство СССР(露), Soviet Non-official Art(英)

1950年代から80年代にかけて、政治的イデオロギーや検閲とは無関係にソヴィエトで制作された美術作品および芸術活動の総称。「非体制芸術」「アンダーグラウンド芸術」とも呼ばれる。34年、ソヴィエトでは社会主義リアリズムが唯一の公的な芸術スタイルとして採択されるが、53年のスターリンの死後の「雪解け」の時期には、芸術家たちは20世紀初頭のロシア・アヴァンギャルドや同時代のヨーロッパ諸国やアメリカの抽象画の影響のもとに、比較的自由な制作を行なっていた。しかし62年の「モスフ(モスクワ現代芸術協会)の30年」展でフルシチョフが反ソヴィエト的な作品の出展を批判すると、非公式芸術の芸術家たちは完全に地下で活動を行なうようになった。非公式芸術の担い手たちの多くは、イラストレーションなどの仕事で生計を立てていた。彼らは自宅のアパートで仲間内だけの展覧会を開き、友人や親類を招いて郊外でパフォーマンスやハプニングを行なった。また、作品および活動の記録、それらに対する注釈を加えた手作りのアルバムを少部数で発刊した。モスクワ郊外のリアノゾヴォで抽象画の制作を行なったエフゲニー・クロピヴニツキー、オスカル・ラービン、ウラジーミル・ネムーヒンらのリアノゾヴォ派、イリヤ・カバコフ、エリク・ブラートフ、コマル&メラミド、アンドレイ・モナストィルスキー、「集団行為」グループらから成るモスクワ・コンセプチュアリズムなどの動向がある。ペレストロイカに伴う自由化によってその存在意義を失い、90年代以降は国立トレチャコフ美術館、モスクワ市近代美術館、モスクワ現代美術センターなどにかつての非公式芸術の作品が収蔵され、展覧会の開催が盛んに行なわれている。

著者: 河村彩

参考文献

  • 「ソビエト現代美術 雪解けからペレストロイカまで」展カタログ, 世田谷美術館, 1991

参考資料

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