2019年09月01日号
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ダルムシュタット夏季現代音楽講習会

Internationale Ferienkurse für Neue Musik(独), Darmstadt Summer Courses(英)

ドイツ南部に位置するヘッセン州の都市、ダルムシュタットで2年に1度開催される現代音楽講習会。その理念は、教師と生徒が共に学び合い、高め合うというバウハウスの教育モデルを参照している。ダルムシュタット夏季現代音楽講習会(以下、講習会)は、第二次世界大戦から間もない1946年に、批評家のW・シュタイネッケと作曲家のW・フォルトナーによって始められた。ダルムシュタットが現代音楽講習会の開催地に選ばれた背景には、戦後、当地がアメリカ軍の占領下にあったことが深く関与している。これまでのファシズム体制下で退廃音楽として弾圧されてきた12音技法が、この講習会でようやく解放されたと言えるだろう。音楽に関する自由な議論と実践の場である講習会は、アメリカが推進した民主化政策の一環としての役割を担っており、50年代にはJ・ケージやE・ブラウンら、アメリカ実験音楽の作曲家も登場した。この講習会は20世紀の音楽史を映す鏡でもある。49年に初演されたO・メシアンの《音価と強度のモード》は全面セリー主義の最初の作品として歴史に刻まれ、52年のレクチャー「シェーンベルクは死んだ」によってP・ブーレーズは時代の寵児となった。ブーレーズ、L・ノーノ、B・マデルナ、K・シュトックハウゼンら「ダルムシュタット派」の作曲家は、音楽におけるモダニズムの歴史的発展のなかに、彼らの新たなセリー技法を位置付けた。70年以降は1年おきの開催となり、現在に至っては当初の政治色がほとんど影を潜めたと言ってよい。ダルムシュタットは同時代音楽の国際的な研鑽の場として、アジア圏も含め、世界各地から優れた音楽家が集まっている。特に優秀な作曲家と演奏家にはクラーニッヒ・シュタイナー賞が授与される。

著者: 高橋智子

参考文献

  • 『ブーレーズ音楽論 徒弟の覚書』, ピエール・ブーレーズ(船山隆、笠羽映子訳), 晶文社, 1982
  • Music in the Late Twentieth Century, Richard Taruskin, Oxford University Press, 2010
  • Darmstadt-Dokumente 1, Musik-Konzepte 1/99, Heinz-Klaus Metzger, Rainer Riehn ed., edition text+kritik, 1999

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