2019年06月15日号
次回7月1日更新予定

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ダンボールハウス

Corrugated Fiberboard House

ホームレスと呼ばれる野宿者・路上生活者によるセルフビルド建築。主に都市部に建設される。社会学的な視点から分析したダンボールハウスについての資料や書籍は少なくない。しかし、建築学的なフィールドワークから、工法や構造、ディティールの調査が行なわれるのは2000年代に入ってからである。その例として『0円ハウス』の写真集で知られる建築家・アーティストの坂口恭平や、今和次郎の『日本の民家』の「採集」的なまなざしによって名古屋の事例を調査した長嶋千聡の『ダンボールハウス』などが挙げられる。ダンボールハウスは公共空間にあるとはいえ、ホームレスのプライヴェートな空間であるため、彼らはその参与観察にあたって慎重な手順をとっている。長嶋はダンボールハウスを大きく「小屋型」「テント型」「小屋+テント型」の三つに分類する。さらにこれらに属さない「寝袋型」「キャンピングカー型」「ロープ型」「ツーバイフォー型」「自然素材型」「モノ構造体型」「無セキツイ型」など、多種多様な形態の存在、設営や運用の方法も明らかにしている。ただし、名称とは異なりダンボールのみで構成されることはなく、廃棄された材料や安価な材料を用いて構成される。雨風を防ぐブルーシート、基礎としてのパレットなどのさまざまな材料、調整された開口の位置、機能的な収納などの工夫のうえに、それぞれ住む場所に適応した居住環境をつくりだしている。また11年3月11日の東日本大震災の後、多くの避難所でダンボールを用いて間仕切りや家具をつくる例がみられた。避難者のプライヴァシーの保護や避難者が容易に加工し、セルフビルドできる点などが、ダンボールハウスと共通しているといえよう。

著者: 伊藤幹

参考文献

  • 『ダンボールハウス』, 長嶋千聡, ポプラ社, 2005
  • 『0円ハウス』, 坂口恭平, リトルモア, 2004
  • 『TOKYO 0円ハウス 0円生活』, 坂口恭平, 大和書房, 2008

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