2019年06月01日号
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ディスクリート・シティ

Discrete City

1970年代から世界各地の集落調査を行なっていた建築家の原広司が、中南米のインディオの散村から導きだした論理。都市・建築において人々が離合集散する状態を示す。この論理によって構成されている社会を「ディスクリート・シティ」と称し、同名の著書でエッセー、インタヴュー、ドローイングなどを通して提案される。「ディスクリート(離散的な)」という言葉は数学における「位相空間」で扱われる「ディスクリートネス(離散性)」を元としており、「位相空間」や「近傍」と都市・建築の関係を数学的記述に対応させてそれを体系的に説明している。原によれば、20世紀初頭に確立された連結可能性や分離可能性を目的としたコミュニティ論が、人口増加やテクノロジーの進歩により諸矛盾を抱えたという。それを包括する思索としの「ディスクリート・シティ」は、離合集散、つまり個人が自立し集合することも自由な都市モデル、個人と集団が対等である社会を実現することを目指す。彼は実作を通じて、70年代前半の自邸(1974)から「ディスクリート」や「離散的記号場」の理論のモデルを構築していた。《JR京都駅》(1997)では建築の各要所に記号性をもたせた「アトラクター」と呼ばれる独自の概念を用いて、「都市のアトラクター」として比喩的に建築内に都市を表現している。同様に《宮城県図書館》(1998)や《札幌ドーム》(2001)、また2000年以降、ウルグアイのモンテビデオやスペインのコルドバなどの都市で、一戸ずつ距離を保って構成される都市の離散型集落の実験住宅を建設するなどの実践を継続して行なっている。

著者: 伊藤幹

参考文献

  • 『Interview 「ディスクリート・シティ」と〈実験住宅ラテンアメリカ〉をめぐるディスクール』, 原広司, TOTO出版, 2004
  • 『YET HIROSHI HARA』, 原広司, TOTO出版, 2009

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