2019年10月15日号
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ヌーヴォー・レアリスム

Nouveau Réalisme(仏)

直訳すると「新しい現実(写実)主義」となり、いわゆる絵画における伝統的写実主義の革新のように取られかねないが、その名称の意図するところは、あらゆる伝統的な絵画技法を捨て、日常生活に溢れる既製品、廃棄物などを用いて非伝統的な技法による美術作品の制作を試みることで、大量生産の工業化社会における「新たな現実性」を模索するという点にあった。第二次世界大戦後の前衛芸術運動のひとつで、名付け親はフランスの美術批評家ピエール・レスタニーである。1960年、レスタニーは、イヴ・クライン、ジャン・ティンゲリー、アルマンなどのアーティストの作品に共鳴し、彼らをヌーヴォー・レアリストと命名、「ヌーヴォー・レアリスム」の宣言書を発表した。彼らの手法は、廃品のアッサンブラージュやモノクローム絵画、パフォーマンスなどそれぞれ異なっていた。しかしながら、彼らの根底には「大量生産によって生み出された既製品や廃品に囲まれる社会は、現代の人間にとって新しい自然な環境でありそこに現実性を見出す」という共通する理念が流れていた。大量生産される既製品への批判的まなざしから、アメリカのポップ・アートなどと比べられるが、その手法や理論においてはネオ・ダダとの関連が指摘されている。62年にクラインが急死したことで、グループの結束力が弱まり、70年にミラノで開催された展覧会を最後に彼らはそれぞれの道を歩むこととなり、約10年間にわたる活動に終止符を打つこととなった。

著者: 小野寛子

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