2019年11月15日号
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ネオ・コンセプチュアル・アート

Neo Conceptual Art

1960年代に生まれたコンセプチュアル・アートから発展した、80年代以降のコンセプチュアル・アートのこと。そもそもコンセプチュアル・アートは、特定のコンセプト(概念)を、物体や文字といった目に見えるかたちに変換することで作品が生みだされていくもので、ジョセフ・コスースのような概念的な作品を指していた。80年代以降、国や社会の動きにあわせて、アート・マーケットをはじめとしたアート界の仕組みが変化していくなかで、コンセプトは作品制作をするにあたっての動機や目的、作品を見せるための考え方というだけでなく、鑑賞者に向けた作品説明のような意味を持ちはじめた。その結果、作品には「わかりやすさ」が求められるようになった。例えば90年代に登場したYBAs(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)とくくられるダミアン・ハーストやトレイシー・エミンらは、直接的な表現で死など普遍的なテーマを扱っている。こうした作風にユーモアが含まれていったり、形態が具象化あるいは写真やヴィデオを使っていく「わかりやすさ」を前提とした作品が増えていった。つまり、作家が考える概念をもとにしたコンセプチュアル・アートから、鑑賞者が理解するためのコンセプトを加味したネオ・コンセプチュアル・アートへと変化していったのである。そのため、制作意図としてのコンセプトは何かということはもとより、どういうコンセプトをもとにして技法や素材、対象を扱っているのかをあらためて自問するような表現も見受けられるようになった。こうした流れを受けた90年代から2000年代のアート界では、見るだけでわかりやすい作品=良いコンセプトの作品、という評価基準も生まれた。その一方で作品形態は複雑化(見た目が多様化)し、幅広い表現方法がとられるようになった。

著者: 藤田千彩

参考文献

  • Conceptual Revolutions in Twentieth-Century Art, David W. Galenson, Cambridge University Press, 2009
  • 「英国美術の現代史 ターナー賞の歩み」展カタログ, 森美術館, 淡交社, 2008

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