2019年09月15日号
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ノーファインダー

No-Finder

カメラのファインダーを覗かずに撮影する方法を意味する和製英語。初期のカメラにはファインダー自体が付いていないので、ノーファインダー撮影というのは小型カメラの普及にともなって意識的に行われるようになった手法と言える。1938-41年にニューヨークの地下鉄でノーファインダー撮影されたウォーカー・エヴァンズの《サブウェイ・ポートレイト》シリーズは、乗客をオーヴァーコートに隠したカメラで撮影したもので、撮影者を意識しないうつろな表情の乗客たちを捉えることに成功している。また、50年代のニューヨークの喧噪を動感あふれるカメラワークで表現したウィリアム・クラインや、その影響を受けた森山大道や中平卓馬といった『プロブォーク』の写真家たちもノーファインダー撮影を多用した。彼らのノーファインダー撮影は、整った構図をよしとする従来の写真美学を否定するものであり、意識の外側にあるものを積極的に受容していくという姿勢でもあった。被写体に気づかれることなく撮影することができるため、人口密集地などでのスナップショットで使用されることが多い方法である。

著者: 小原真史

参考文献

  • Many Are Called, Walker Evans, Yale University Press, 2004
  • 『イメージ、それでもなお アウシュヴィッツからもぎ取られた四枚の写真』, ジョルジュ・ディディ=ユベルマン(橋本一径訳), 平凡社, 2006
  • 『写真よさようなら』, 森山大道, 写真評論社, 1972

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