2019年10月15日号
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バナナ・ダンス

Banana Dance

一世を風靡したアメリカ出身の女優・ダンサーであるジョセフィン・ベイカーが、バナナの房状のスカートを履いて踊る、扇情的なダンスの呼称。1926年4月、パリのフォリー・ベルジェール劇場における《最新のフォリー》のなかで、20才に満たないベイカーは、作り物のバナナをぶら下げた腰蓑(バナナ・スカート)だけの姿で、激しく腰を揺らすダンスを踊った。スカートの発案者には諸説あるが、ベイカー本人によれば、ジャン・コクトーが「君がバナナのスカートを纏えば、とってもドレッシーだと思うよ」とささやいたことに端を発する。27年の《フォリーの風》ではバナナはピカピカで尖った形になり、35年のアメリカ公演では白い牙に変貌する。《最新のフォリー》のなかで第1幕に登場したティラー・ガールズが「文明」を印象づけるパリジェンヌの様子を見せたのとは対照的に、その直後に登場したベイカーは「恋する猿の媚態」を示し「野生」を表現した。「黒いヴィーナス」「ダンス・ソヴァージュ」とも称されたベイカーは、20世紀初頭に生じた黒人芸術ブームの一翼を担っており、黒人イメージのステレオタイプを踏襲しつつ、当時の西洋文化には例のない女性の魅力、ダンスの魅力で人々を虜にした。黒人女性として初めてスターダムにのしあがったベイカーへの賞賛は今日でも絶えない。2006年のイヴェント「ファッション・ロックス」において、ビヨンセがバナナ・スカートに似たスカートを履いてベイカーにオマージュを捧げた姿は、その一例である。

著者: 木村覚

参考文献

  • 『黒いヴィーナス ジョセフィン・ベイカー 狂瀾の1920年代、パリ』, 猪俣良樹, 青土社, 2006
  • 『歌姫あるいは闘士ジョセフィン・ベイカー』, 荒このみ, 講談社, 2007

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