2019年06月01日号
次回6月17日更新予定

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プッシュ・アンド・プル

Push and Pull

画家ハンス・ホフマンが提唱した絵画理論。「面」として析出された画面内の要素が「押し」合い「引き」合う視覚的効果のことを指す。1933年にニューヨークにハンス・ホフマン美術学校を開設し、非具象的傾向を強めながら展開したホフマンの自作に応用された理論であると同時に、セザンヌやキュビスムなどの絵画を解釈する鍵概念としても援用された。ホフマンによれば、セザンヌの作品には絵画空間のなかで複数の面が動態的に影響し合う双方向的な関係性があるとされ、それらの「面」が互いの位置関係を一義的に確定させないまま、押しと引きを交互に展開するとされる。ホフマンがこの見解を公に出版したのは67年になってからのことだが、その理論は38年から39年にかけてホフマンの連続講義を受講した批評家C・グリーンバーグに絶大な影響を与えた。たとえば「プッシュ・アンド・プル」の理念においては、画面の手前において演じられる面の運動によって空間的な深奥への後退が阻止される。それは、グリーンバーグが抽象表現主義やキュビスムにおいて強調した「平面性」や「浅い奥行き」などの考えにも明らかに反響しているといえる。

著者: 沢山遼

参考文献

  • Hans Hofmann, , Sam Hunter and Hans Hofmann, H.N. Abrams, 1963

参考資料

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