2019年08月01日号
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プロセス・プランニング論

Theory of Process Planning

建築家・磯崎新が1962年に提唱した概念。用途変更・改修・増築などの時間的な変化が生じることが明らかな場合において、計画段階でそれらを想定しつつ、設計を行なう方法論である。時間的な要因を設計に組み込むことよって、時間的推移のなかでのある時点における意思決定の集積が空間を創造していく、と磯崎は述べている。「プロセス・プランニング」の具体的な建築における方法化は、初期の代表作である《旧大分県立図書館》(1967)を設計する過程において生まれた。蔵書の増加や使用形式の変化が予測される図書館建築に対して、モデュラー・プランのような単に空間の拡張を許容する空間をつくるのではなく、建築を構成する諸室がそれぞれ完結した用途を持ちつつ、増築やその他の時間的変動に対して、その時ごとに意思決定が可能な空間を形成することを目指した。さらに、これら用途が完結した部屋を連結させていくシステムを、「建築の基本的なスケルトン」と磯崎は呼び、建築の成長を支配し、空間の方向性を決定するものとした。この建築においては設備系統をそのまま表現した中空のパイプ状の梁を用いた架構システムがこのスケルトンに合致しており、空間の個別的な成長と構造–設備のシステムが一体化した計画が行なわれた※。このような時間を介在させた建築の設計手法は、後の《つくばセンタービル》(1983)に代表されるような磯崎の設計に対する姿勢へと継承されている。

著者: 足立優太(大阪市立大学倉方研究室)

参考文献

  • 『空間へ』, 磯崎新, 鹿島出版会, 1997
  • 『建築雑誌』09-20, 「プロセス・プランニング論」, 磯崎新, 日本建築学会, 1967
  • 『建築文化』1963年3月号, 彰国社

註・備考

  • ※磯崎新は著書『空間へ』(86ページ)で「…具体的にスケルトンに意味を与えることによって、それは視覚的、構造的な骨組みとつらなっていくのだ。それは構造体でも良ければ、交通動線でもよく、各室の連結システムでもいい」と述べている。

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