2019年06月15日号
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ポストコロニアリズム

Postcolonialism

直訳すれば「ポスト植民地主義」であり、西洋を中心とするかつての帝国主義、植民地主義に対する反省的な態度を意味する。
ポストコロニアリズムは、狭い意味での政治、経済、歴史のみならず、文化的な次元とも深く関わっている。たとえば、かつてならば非西洋圏の美術作品(山水画、浮世絵など)は西洋の「正統な」美術史に含まれることはなく、あくまでも西洋の一部の作家に対するその影響が指摘されるにとどまっていた。つまり具体的には、美術におけるポストコロニアリズムとは、これまでの美術史や作品をめぐる価値判断が西洋の物の見方を中心とする「ひとつの」歴史、「ひとつの」価値判断にすぎなかったということを自覚し、それを反省的に捉え直していくことなのである。実際、80年代末の「大地の魔術師たち」(ポンピドゥ・センター、1989)を筆頭に、美術業界におけるポストコロニアルな態度はあらゆるところで目に付くようになった。しかし他方で、その多くはやはり「西洋美術」の歴史や価値観を保持したまま、非西洋の美術を吸収しているにすぎないという否定的な見方もある。

また、ポストコロニアリズムは必ずしも「西洋」対「非西洋」の問題ではない。かつての帝国日本による韓国・台湾支配のように、非西洋のなかでも同種の問題が存在することは認識しておく必要がある。

著者: 星野太

参考文献

  • 『文化の場所』, ホミ・K・バーバ(本橋哲也、 外岡尚美訳), 法政大学出版局, 2005
  • 『ポストコロニアル理性批判──消え去りゆく現在の歴史のために』, ガヤトリ・スピヴァク(上村忠男、本橋哲也訳), 月曜社, 2003

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