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ミュゼオロジー
museology
博物館や美術館の社会的機能、運営、活動などを対象とする学問・研究領域。近代美術館の定着が進んだ20世紀に入って生まれた比較的新しい研究分野である。「博物館学」あるいは「美術館学」と訳されることもあるが、学芸員資格取得のための単位として、大学において博物館の基礎事項を概論的に論じる講義が「博物館学」と呼ばれる(この名称で博物館法に規定されている)のに対し、通常ミュゼオロジーと呼ぶ場合はより広い理論的研究を含む。社会における博物館(美術館を含む)の存在と機能、およびその変遷に対する分析、作品・資料保存に関わる実際的な技術研究、博物館をめぐる法制度の研究など、学問的な関連範囲は幅広い。日本では、1980年代以来美術館の建設が相次ぐ一方で90年代末頃から経営的な困難が目立ち始め、これを背景にとりわけ博物館運営を研究するミュージアム・マネジメントが2000年代に盛んに論じられた。またこれと関連して、社会教育施設としての博物館の側面を踏まえ、鑑賞教育に重点を当てた研究が進んでいるのも2000年代以降に顕著な動向である。
著者: 成相肇
参考文献
- 『博物館学 フランスの文化と戦略』, , 西野嘉章, 東京大学出版会, 1995
- 『美術館はどこへ? ミュージアムの過去・現在・未来』(廣済堂ライブラリー), , 暮沢剛巳, 廣済堂出版, 2002
- 『ミュージアムマネージメント:産業文化施設の運営』, , 諸岡博熊, 創元社, 1993