2019年06月15日号
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ヨーゼフ・ボイス対話集会

Debate with Joseph Beuys

1984年6月2日、東京藝術大学の体育館で催されたヨーゼフ・ボイスとの対話集会。西武美術館での個展にあわせて来日したボイスが、同大学の学生を中心とした観客1000人あまりと3時間にわたって討議した。当時熱狂的な人気を誇っていたボイスとの直接的な対話は、多くの観客に多大な影響を与えたイヴェントとして語り継がれている。この集会の実行委員会には、当時同大学の学生だった宮島達男や長谷川祐子、タナカノリユキらが名を連ね、当日も通訳をドイツ文学者の三島憲一が、撮影を畠山直哉らが担い、さらに会場には美術評論家の針生一郎や美術史研究者の若桑みどりなど、錚々たる面々が集っていた。ただし、その議論は必ずしもかみ合ってはいなかったようだ。というのも、学生からの質問は、西武という大資本との関係をボイスに詰問するものが多かったからだ。「社会彫刻」というヴィジョンについて意見を交えたかったボイスは、そのことに失望と苛立ちを隠さないまま、学生たちが「古い芸術にとらわれている」として挑発し、新しい芸術、すなわち「拡大された芸術概念」への飛躍を粘り強くアピールした。ボイスのメッセージは、その場で学生たちの心をつかむことはなかったようだが、影響力はその後時間をおいて現われた。ボイスの熱を帯びた佇まいから、宮島達男は社会的な役割を自覚したアーティストとしての態度を、長谷川祐子は世界を変えていくというヴィジョンを、それぞれ学んだと証言している。

著者: 福住廉

参考文献

  • 『ドキュメント ヨーゼフ・ボイス TVプリンター・マガジン』, ヨーゼフ・ボイス, 西武美術館, 1984
  • 『ユリイカ』, 「芸術の原点への復帰」, 若桑みどり, 青土社, 1984年9月
  • 『ユリイカ』, 「羊の相手をした老コヨーテ」, 長谷川祐子, 青土社, 1984年9月
  • 『ヨーゼフ・ボイス ハイパーテクストとしての芸術』, 慶應大学アート・センター編, 慶應大学アート・センター, 1999
  • 『BEUYS IN JAPAN ヨーゼフ・ボイス よみがえる革命』, 水戸芸術館現代美術センター編, フィルムアート社, 2010

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