2019年12月01日号
次回12月16日更新予定

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リテラリズム

Literalism

「文字通りの」「そのままの」という意味の形容詞「リテラル(literal)」から派生した言葉。美術史家・批評家のマイケル・フリードが論文「芸術と客体性」(1967)において用いたことで知られる。60年代半ばに台頭したミニマリズム(ミニマル・アート)は、その当初「ABCアート」や「プライマリー・ストラクチャー」などさまざまな名前で呼ばれたが、フリードは同論文の冒頭で、ミニマリズムの作品をこの「リテラリズム」という言葉で呼んでいる。フリードは、ドナルド・ジャッド、ロバート・モリス、トニー・スミスらの発言を引用しつつ、リテラリズム(=ミニマリズム)を「演劇性」へと向かうものとして位置づけている。つまりフリードによれば、モダニズムの絵画および彫刻が自律的に現前する「芸術(art)」を志向してきたのに対し、リテラリズムの作品はむしろ「非芸術(non-art)」の状態に置かれた物体であること、すなわち「客体性(objecthood)」を志向するという。つまり、ジャッドやモリスの作品は、物体=客体(object)としての「そのままな」「文字通りの」状態を志向しており、それを通じて主体としての鑑賞者を演劇的な状態へと巻き込むというのである。フリードが、ジャッドやモリスの作品を形容する際に「ミニマル」ではなく「リテラル」という言葉にこだわった理由は、こうした「芸術と客体性」の論旨そのものに由来すると考えることができる。

著者: 星野太

参考文献

  • Art and Objecthood: Essays and Reviews, Michael Fried, The University of Chicago Press, 1998
  • 『批評空間臨時増刊号 モダニズムのハード・コア』, 「芸術と客体性」, マイケル・フリード(川田都樹子、藤枝晃雄訳), 太田出版, 1995

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