2019年06月01日号
次回6月17日更新予定

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ヴィジュアル・ミュージック/モーション・グラフィックス

Visual Music/Motion Graphics

ヴィジュアル・ミュージックは音楽を視覚的に表現、もしくは音楽と視覚表現を融合させる試みで、映像面では抽象性の高いものとなるケースが多い。音楽と視覚的な要素を融合するという試みは、カラーオルガンなど主に音楽の分野でそれ以前に遡ることができ、これらはヴィジュアル・ミュージックの担い手たちにも直接的・間接的に影響を与えている。初期のヴィジュアル・ミュージックの分野で最も有名なのはオスカー・フィッシンガーである。初期のドイツ時代の代表作「スタディ」シリーズから一貫して映像と音楽の完全なるシンクロを志向する抽象アニメーションを制作していたフィッシンガーは、渡米後、ディズニーの『ファンタジア』(1940)の制作に関わるなどしながら、その実践を続けた。ノーマン・マクラレンはフィッシンガー作品に触れることにより絵画から抽象アニメーション制作に転向し、英国郵政局(GPO)やカナダ国立映画制作庁(NFB)で多くの傑作を作ることで、この分野を代表する作家となった(フィッシンガーとマクラレンはともに聴覚と視覚が連動する共感覚者だったと言われている)。ヴィジュアル・ミュージックはコンピュータの開発に伴い新たな展開を迎える。ジョンとジェームズのホイットニー兄弟は1950年後半からコンピュータをはじめとするテクノロジーをヴィジュアル・ミュージックの分野に積極的に導入し、モーション・グラフィックス(彼らが設立した会社名でもある)は、広告など商業的な分野とも絡みながら独自の発展を遂げることになる。ジョン・ホイットニーはヒッチコックの『めまい』のオープニング・クレジットなどでソール・バスに協力した(バスは映画のタイトルデザインにモーション・グラフィックスを持ち込んだ第一人者であり、日本でもデザイナーや漫画家たちに影響を与えた)。弟のジェームズ・ホイットニーは実験映画の領域で活動を続け、ジョーダン・ベルソンらとともにひとつの時代を築き上げた。ヴィジュアル・ミュージックおよびモーション・グラフィックスは今でも、VJ(ヴィデオ・ジョッキー)および動画サイトを中心としたインターネット文化において一定の存在感を保ちつづけている。

著者: 土居伸彰

参考文献

  • 『コンピュータ・グラフィックスの歴史 3DCGというイマジネーション』, 大口孝之, フィルムアート社, 2009

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