2019年06月15日号
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未来派(建築)

Futurismo(伊), Futurism(英)

20世紀初頭にイタリアで起こった前衛芸術運動の総称で、建築に関しては、主にアントニオ・サンテリア(1888-1916)の都市および建築計画案を指す。未来派の出発点は、1909年2月20日のフランスの新聞『フィガロ』紙の一面に発表された、詩人F・T・マリネッティによる「未来派宣言」である(日本ではその3カ月後、森鷗外が『スバル』誌上に「未来主義の宣言十一箇条」として紹介している)。この宣言のなかでは、電灯に照らされた武器工場、列車の出入りする停車場、巨大な橋梁、港に集まる多くの船舶といった産業革命後のヨーロッパの都市の風景、あるいは自動車のスピード感といったモータリゼーションの恩恵が賛美されている。これらの事物を創造の根源として、文学、音楽、絵画、彫刻、写真などの領域でムーヴメントを起こした未来派であるが、サンテリアの参加によってここに建築が加えられる。「新都市」案(1913-14)に描かれた都市は、駅舎、発電所、高層住宅、重層する道路、滑走路、エレベーターといった近代的な設備によって構成されており、サンテリアは機能主義的・合理主義的な姿勢よりむしろ、空想主義的な姿勢で、賛美や憧憬の的となるさまざまな技術革新を都市の創造に取り入れている。

著者: 田口純子

参考文献

  • 『カラー版 西洋建築様式史』, 熊倉洋介、末長航、羽生修二ほか, 美術出版社, 1995
  • 『未来主義と立体主義』, 石田仁志編, ゆまに書房, 2007

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