2019年06月15日号
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構法

Building Construction

構法、あるいは建築構法とは、建物の物的な構成のされ方を指す語である。内田祥哉らによれば、「建築構法」は人体構造や社会構造などと同様のニュアンスを持つ語である。したがって本来であれば、「建築構造」と呼ばれるべきであるが、日本の建築界において「建築構造」という語は、「建築構造強度」や「建築構造力学」などの略称として定着したため、「建築一般構造」などと呼ばれることもあったが、最近では「建築構法」の語が用いられる、とされている。上記のように、構法は建築の基盤をなす概念であるため、大学等の講義科目としての建築構法も、日本における建築教育の最初期から認められる科目である。建築構法は、英語では「building construction」と訳されるが、1877年に工部大学校に着任したジョサイア・コンドルの講義には、すでに「Architecture and Building Construction」という科目が見受けられる。1884年に同大学校の教授に就任した辰野金吾による講義には「建築材料家屋構造及ヒ構造計算法」があり、これには現在でいうところの建築構法学、建築構造学、建築材料学の内容が含まれた。また、工部大学校の流れが引き継がれた帝国大学工科大学において、1893年に最初に設けられた三講座のうち、第一講座は中村達太郎が担当する建築一般構造、すなわち建築構法についての講座であった。その後、1915年には建築構造に関する新たな講座が設けられ、鉄筋コンクリート構造および鉄骨構造に関する研究が行なわれた。つまり、建物の構造体の力学的特性を定量的に検証する部門が独立した学問分野を形成したため、建築一般構造と建築構造は分化したが、建築構造がその初期から物理学などを応用した科学的アプローチを採用する一方、建築一般構造に対する科学的アプローチは遅れた。これが本来「建築構造」と呼ばれるべき建築構法が、しばらくのあいだ「建築一般構造」と呼ばれることとなった経緯でもある。その後、1956年に東京大学工学部建築学科に着任した内田によって、建築一般構造にも科学的アプローチが導入され、学問分野としても再整備されることとなり、これによって、建築構法という語もまた一般的なものとなっていった。

著者: 門脇耕三

参考文献

  • 『建築構法 第五版』, 内田祥哉、大野隆司、吉田倬郎、深尾精一、瀬川康秀, 市ヶ谷出版社, 2007

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