2019年12月01日号
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環境ノイズエレメント

Environmental Noise Element

都市は基本的に人の意思に基づいた「計画」によって形成されるが、その場所には地形や自然物、土木構築物や過去の都市計画など、「計画」者がコントロールしきれない要素がもともと存在している。建築家・宮本佳明による研究チームは、古い環境を素材とみなしそれを加工することで、可視・不可視にかかわらず本来の「計画」が志向した風景の秩序に「ほころび」が生じると考えた。宮本らは、そうした「ほころび」を「環境ノイズエレメント」と命名し、それが古くからの環境の痕跡でもあり、人の記憶や身体的な感覚に残る風景の豊かさを生み出すとしている。具体的な事例としては、竣工時期の異なる線路によって生じる三角敷地(ヘタ地)、寸法や形態の似ている遺跡を駐車場に転用した例、不整形地形に直行グリッドをトレースすることでかえって起伏の際立った土地などが挙げられている。「ノイズ」という名のとおり異物感を醸し出す一方で、両者の本来の持ち味だけでは発生しない現象が起こるという点に環境ノイズエレメントの特徴がある。さらに宮本は、風景のもつ「素材性×加工性」という構造が「食材×調理」という料理の過程に似ているという観点から、分析ツールとしての環境ノイズエレメントの概念を援用し、新たな設計ツールとして「クッキング・アーバニズム」という手法を提唱している。具体的には、風景の背後に流れる時間軸をデザインに取り込むことで、単一の計画では得がたい風景の多層性を生み出すことが可能であるとしている。

著者: 金指大地

参考文献

  • 『環境ノイズを読み、風景をつくる。』, 宮本佳明, 彰国社, 2007
  • 『10+1』No.37, 「加工される都市」, 宮本佳明, INAX出版, 2004

参考資料

  • ウェブ

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