2019年09月01日号
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異性装

Transvestite

女性が男性の服装を着る(男装)、男性が女性の服装を着る(女装)といった、社会的、文化的な性規範に則っていない服装をすること。西洋において、異性装の例は古代から見られるが、中世には宗教的、社会的規範を乱す者として厳しく処罰されていた。近代に入ると、特に女性の男装が数多く記録に残っているが、社会的、宗教的な事情から異性装をすることがほとんどであった。しかし、19世紀後半以降には、スポーツや余暇の増加、女性解放運動の隆盛等により、男性の衣服が女性の装いに取り入れられるようになり、中世から近代の初頭のように異性装に対する厳格な禁止や、特殊な事情から異性装を選択する事例は見られなくなっていく。20世紀に入ると、ガブリエル・シャネル(ココ・シャネル)ら先鋭的なデザイナーが、男性の衣服をあえてデザインに取り込むことで、女性のファッションの可能性を広げ、カンカン帽やテーラード・ジャケット、パンタロンなどを女性が着用することは珍しくなくなっていった。現在では、性規範に基づく衣服という概念は、社会的規制としてもファッションの側面でも非常に薄くなっており、異性装はむしろドラッグクイーンなど、ジェンダー規範との関わりにおける積極的な表現の一種として用いられることが多くなっている。

著者: 高城梨理世

参考文献

  • 『「女装と男装」の文化史』, 佐伯順子, 講談社選書メチエ, 2009
  • 『図説ヨーロッパ服飾史』, 徳井淑子, 河出書房新社, 2010
  • 『シャネル 20世紀のスタイル』, 秦早穂子, 文化出版局, 1990

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