2019年06月15日号
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百貨店の美術画廊

Gallery in a Department Store

百貨店が店舗内で営業する画廊。おおむね「美術部」といわれる専門部署が企画・運営・販売のすべてを担っている。代表的なのが、1907年に「美術部」を創設した三越と、09年から継続して展覧会を催してきた高島屋である。従来、絵画や工芸品を取り扱うことが多かったが、昨今は現代アートにも力を入れ始めている。百貨店は創業時から美術展を催していた。もっとも早いのは、04年、三越の「光琳遺品展覧会」で、その後09年、高島屋の「現代名家百幅画会」が続いた。14年には三越で「日本美術院再興記念展」、15年には同じく三越で「二科会美術展覧会」など、在野の美術団体による展覧会場としても利用された。こうした百貨店における展覧会は、美術家に対しては売上の何割かを手数料として徴収する一方、観覧者に対してはほとんど無料で、いわゆる「シャワー効果」を狙った客寄せ事業として考えられていたようだ。戦後になると、百貨店は新聞社との共催によって大規模な展覧会を催すようになり、80年代後半には入場料をとる「美術館」が店舗内に開設されるようになったが、それらの大半はバブル経済の崩壊に伴い軒並み閉館に追い込まれた。対照的に、百貨店の美術画廊は安定的かつ持続的に美術品の販売および文化啓蒙の役割を果たしている。2005年に日本橋三越が山口晃の個展を催して以来、美術館や画廊に並ぶ、現代アートにとっての展示空間として定着している。

著者: 福住廉

参考文献

  • 『日本近現代美術史事典』, 「百貨店の役割」, 神野由紀, 東京書籍, 2007
  • 『美術手帖』, 「デパートと美術館」, 村田真, 美術出版社, 1999年8月

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