2019年06月01日号
次回6月17日更新予定

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究極課題

Superobjective

作者の創造の真の目的であり、戯曲やそのなかの登場人物がそのために創造されているとされるもの。超目標とも訳される。ロシアの俳優・演出家コンスタンチン・スタニスラフスキーは、自身の俳優教育システム(スタニスラフスキー・システム)を論じるなかでこの考えを提唱し、俳優が役を演じる際に一貫した論理的な行動をとるための重要な指針とみなした。スタニスラフスキーによれば、ドストエフスキーは神の探究を、トルストイは自己完成を、チェーホフはよりよき生活への志向を究極課題とし、数々の作品を生み出した。そして、作品はこの究極課題から生まれてくるとみなされるため、俳優の創造もそこを目指すものでなければならない。また、究極課題は、演出家や俳優が作品を解釈していくなかで見出されるものとされた。スタニスラフスキーはシェイクスピアの『ハムレット』を例に、究極課題を「父を追悼したい」という点に置くならば家庭劇に、「存在の神秘を知りたい」という点に置くならば神秘劇に、「人類を救いたい」という点に置くならばこの悲劇を拡大させ深化させるものになると考えた。この究極課題は、俳優に役の精神生活や演技の目的を想起させる。こうした俳優術をもとに、スタニスラフスキーはリアリズム演劇の本格的な深化を行なった。

著者: 木村覚

参考文献

  • 『俳優の仕事 俳優教育システム』(第1部、第2部), コンスタンチン・スタニスラフスキー(岩田貴、堀江新二、浦雅春、安達紀子訳), 未來社, 2008(原書1989)

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