2019年08月01日号
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絶対ダンス

Absolute Dance

ドイツの舞踊家・振付家マリー・ヴィグマンを主軸としたモダンダンスのひとつの傾向であり、純粋に運動そのものを呈示しようとした自律的なダンスの呼称。エミール・ジャック=ダルクローズによるリトミックが新しい体操として音楽と同調する身体性を呈示し普及してゆくなか、自然で自由な運動というイサドラ・ダンカン以来の新しいダンスの課題は、他の諸芸術ジャンルと同様に身体運動による純粋芸術となるべく、完全に自己充足的なダンスを求める方向へと純化していった。他の芸術ジャンルに従属しない、ひとつの自律的な芸術を生み出そうとモダンダンスの振付家・ダンサーたちや当時の批評家たちは、18世紀のバレエダクションのように活人画を目指すこともなく、19世紀の物語バレエのようにマイム的な語り方やキャラクターを採用することもなく、また音楽のリズム、メロディー、ハーモニーに身体の動きを同調させることもない、純粋に動きとしての動きを求めた。この傾向はとくに空間芸術としてのダンスの可能性をひらくとともに、ジェンダーやキャラクターの記号性からある程度自由になるための衣装の創造を促進させた。その発端にロイ・フラーの衣装はある。また1919年上演の作品《偶像崇拝》でマリー・ヴィグマンが見せた、細い紐が無数に肩から伸びて揺れ続けている衣装は、不断に変容し続けるゲシュタルトが記号性やジェンダーイメージを攪乱させた。

著者: 木村覚

参考文献

  • Art without Boundaries: The World Modern Dance, Jack Anderson, London, 1997
  • Ecstasy and the Demon: The Dances of Mary Wigman, Susan A. Manning, Minnesota, 1993

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