2019年06月15日号
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鉄筋コンクリート

Reinforced Concrete

鉄筋コンクリートとは、圧縮力には強いが引張り力に弱いコンクリートを、鉄筋によって補強し、引張り力にも耐えられるようにした構造材料のことである。コンクリート自体は、ローマの《パンテオン》(A.D.128)にも使われた古い材料であるが、これを鉄筋によって補強するというアイディアは、19世紀後半に初めて登場した。1855年に開催されたパリ万国博覧会に出品された、ジョゼフ・ルイ・ランボーによる鉄材を埋め込んだコンクリート製の小舟や、1867年に特許が取得された、ジョゼフ・モニエによる鉄網を組み込んだコンクリート製の植木鉢が、鉄筋コンクリートの起源であるとされている。また、1853年には、フランソワ・コワニエによって、パリ郊外のサン・ドニに4階建ての鉄筋コンクリート造住宅が建設された。鉄筋コンクリート造は構造強度も高く、また、石や煉瓦を積み重ねて建物をつくる組積造などとは異なり、建物全体を一体的につくることができるため、柱・梁のみに構造を負担させ、外壁に大きな開口をつくることや、水平な床や片持ち構造を実現することが容易であった。このような鉄筋コンクリートの特徴を、建築表現として昇華させることを試みた最初期の建築家がオーギュスト・ペレであり、代表作である《ランシーの教会堂》(1923)では、細い柱によって天井が軽やかに持ち上げられ、非耐力の外壁すべてにステンドグラスがはめ込まれた大空間が実現されている。また、ペレの事務所に籍を置いたこともあるル・コルビュジエによる「ドミノ・システム」の概念図にも、柱のみで支えられ、梁を内蔵したフラットスラブ、片持ちスラブや片持ち階段など、鉄筋コンクリート造ならではの特徴を多数認めることができる。

著者: 門脇耕三

参考文献

  • Concrete: the Vision of a New Architecture, Peter Collins et al., McGill-Queen's Press, 2004

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