2019年06月15日号
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Any会議

Any Conference

1991年から2000年にかけて開かれた「Any」を冠した建築と哲学を架橋する一連の国際会議。ピーター・アイゼンマン、磯崎新、イグナシ・デ・ソラ=モラレス・ルビオーが中心を担った。事務局Anyone Corporationが運営母体となり、第1回から順にAnyone、Anywhere、Anyway、Anyplace、Anywise、Anybody、Anyhow、Anytime、Anymore、Anythingの名で、ロサンゼルス、湯布院、バルセロナなど世界諸都市で行なわれた。また全10回の会議の全記録は事務局の編集者シンシア・デヴィッドソンによって編集され、MIT Pressから、日本ではNTT出版から刊行されている。ここでAnyとは決定不能性を象徴的に表わす語として機能している。またそれに続く語は、各会議の主題を示す。建築と哲学の接近から生まれた会議のシリーズは、1980年代のポストモダンが衰退していく流れを受けつつ、また28年から59年まで国際建築の近代化を牽引したCIAM(Congrès International d'Architecture Moderne、近代建築国際会議)の20世紀末における反復としてもみなせるだろう。参加者には、当初50歳代のレム・コールハース、ベルナール・チュミ、ダニエル・リベスキンド、その下に続く世代としてグレッグ・リン、アレハンドロ・ザエラ=ポロ、ベン・ファン・ベルケルなどが挙げられる。またジャック・デリダや、ジョン・ライクマンなどのジル・ドゥルーズの思想を継承する哲学者、そして日本からは浅田彰や柄谷行人らも参加している。この会議は、20世紀の総括を行なうことで、21世紀における社会的アクティビティの中心となるグループの組織化と世代交代の誘発を目的とした。第7回のAnyhowでは、その中心的議論の担い手が言語学モデルとデリダの脱構築の哲学に依拠していたアイゼンマンらの世代から、脱中心的なリゾームモデルなどドゥルーズ的な理論を参照する、リンら若手のデジタル建築家世代へと移行するかのようにも見られたが、結果として大きな潮流にならなかったと言えよう。ANY会議の10年を通じてみると、建築の自律性を求めたアイゼンマンの理論的な枠組から、建築ではなく都市、さらにはグローバル資本主義こそ重要と唱えるコールハース、あるいは過度に難渋な議論を展開しないヘルツォーク&ド・ムーロンといった建築家たちの枠組への移行が強く印象づけられる。

著者: 椚座基道

参考文献

  • 『Any:建築と哲学をめぐるセッション1991-2008』, 磯崎新、浅田彰編, 鹿島出版会, 2010
  • 『ビルディングの終わり、アーキテクチュアの始まり』, 磯崎新、浅田彰, 鹿島出版会, 2010

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