2019年06月15日号
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IRCAM(フランス国立音響音楽研究所)

IRCAM (Institut de Recherche et Coordination Acoustique/Musique)(仏)

パリのポンピドゥー・センター内にある音響と音の調査探究のための施設で、コンピュータ音楽に関する研究、制作、教育活動が行なわれている。1968年パリ五月革命以降の国家再構築のため、70年に当時の仏大統領ジョルジュ・ポンピドゥーが文化政策の一環としてピエール・ブーレーズを招聘し、77年にIRCAMが創設された。リアル・タイムで音響を生成する装置「4X」を用いた《レポン》(1980-84)は、IRCAM時代の彼の代表作である。IRCAM創設の背景には現代芸術、とりわけテクノロジーを援用したコンピュータ音楽の活動や研究を政府がバックアップすることで、アメリカから文化の覇権を奪還しようとする狙いもあった。74年の準備段階から80年まで技術アドヴァイザーを務めたマックス・マシューズにより、一躍IRCAMは音楽ソフト「Max」シリーズの先鋭的な開発と実践の場となった。IRCAMの研究部門楽器音響、知覚と音響デザイン、リアルタイム・インタラクションなどの8部門に分かれ、プログラミング言語や音響技術を探究している。制作部門は映像なども取り入れたプロジェクトとして大規模な作品を手がけている。過去にはフランク・ザッパの《パーフェクト・ストレンジャー》(1984)もここで制作された。教育部門は夏田昌和や望月京などの日本人作曲家を輩出している。トリスタン・ミュライユらがIRCAM時代に始めた、自然倍音の解析や合成といった音響操作を生成原理とするスペクトル音楽の日本における受容は、上述のIRCAM出身の日本人作曲家によるところが大きい。また、一般市民向けの職業訓練としてコンピュータ音楽講座も定期的に開かれている。

著者: 高橋智子

参考文献

  • Rationalizing Culture: IRCAM, Boulez, and the Institutionalization of Musical Avant-Garde, Georgina Born, University of California Press, 1995
  • 『標柱 音楽思考の道しるべ』, ピエール・ブーレーズ(笠羽映子訳), 青土社, 2002

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