見学会でのおしゃべり

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昨日金曜日はバスに乗って、小学生が100人ほどYCAMに見学に来ました。社会科見学の一環ということで、「しおり」には自動車工場やテレビ局などの見学も書き込まれていました。

YCAMの紹介ということで展覧会を案内することになったのですが、社会見学ということを考えると、仕事の内容や施設の機能を見せたいというニーズがあったのかもしれませんが、やはりせっかく生の作品展示に触れるチャンスでもあるので、作品を観ることを重視した見学ツアーにしました。

100人と言っても、一気に全員に説明するのではなく、隣接するテレビ局と50人で45分ずつ、2回に分けて見学してもらいます。さらにその50人を3つのグループに分け、17人程度のグループに1人のスタッフが一緒に作品を鑑賞します。
小学生がYCAMにやって来たときには、まず最初に「作品鑑賞のコツ」というのを伝えるようにしています。そのコツはすごく簡単なことで、単に「よく見る」ということです。よく見るとはどういうことかというと、細かいところまでいちいち確認していく、ってことです。別の言い方をすると「友達が発見してないような部分を発見してみよう!」ということも言います。作品の端々に小さな要素が隠れていて、そういうことを面倒くさがらずに発見していきそれをきちんと言葉にしていくことが、小学生のころの作品鑑賞には最も重要なことなのかもしれないな、と思っています。そんなこととを子供たちに促してみると、身の回りの友達、先生、ツアーのアテンダント(スタッフ)に、どんどん発見したことを教えてくれるようになります。

そんな訳で、YCAMの見学会はとても賑やかです。最初はどうやって作品と向き合えばよいのかわからず、もじもじしている子供も、徐々にペースがつかめて来て「あ、あそこにあんなものがかくれている!」「うわ、動いた!ねえねえ、動いたよー!」「あれって知ってる?あんなものがあるよ。」という感じで、みんなで一体になって作品を楽しんでくれている様子が見受けられました。

展示作品のなかでも、絶妙な映像フレーミングと身体の描き方でトリッキーな表現を楽しませてくれる高嶋晋一さんの映像インスタレーション作品「Pascal pass scale」についても、本当に高い集中力で、様々な角度からどんどん鋭い指摘をしてくれるようになり、大人のグループをギャラリーツアーしているときに比べても、アテンド側が本気で発言を拾って、一緒にコメントしながら観ていかないと、追いつかないぐらいです。まさに真剣勝負の見学ツアーになりました。

言葉を発しながら観る、という経験はなかなか経験することは珍しいとは思いますが、「頭を活性化させた状態での鑑賞」にとってはとても重要なものです。YCAMは、鑑賞中のおしゃべりがとがめられない珍しいアートセンターと言えるかもしれません。「作品を見る」という経験が、難しくて息苦しいものになるよりも、楽しくて面白かったという感触になれば、その後の成長の過程で再び作品を見ることが喜びにつながるんじゃないかなと思っています。

ブロガー

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