水都大阪のまわりの出来事02_アーティストのベースキャンプ

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水都大阪は10月12日(日)に終了しましたが、前々回の投稿でも触れたとおり水都大阪とも関連のある此花区という場所を中心に、もうちょっといくつか面白い場所を紹介しようと思います。
まずモトタバコヤの2件となりには、水都大阪のメインアーティストのひとりであるkosuge1-16さんチームの宿泊所があります。またその数ブロック先には藤浩志さんチームの宿泊所兼スタジオもあります。こちらは通りと通りの間にある何軒かの民家が増築というか、なんだか不思議に接続されていってできた結構巨大な空間になっています。

01_fujihause.jpg↑写真を見るとわかるかもしれませんが、この手前から奥までの何棟か全体が繫がっていてひとつの家になっています。


02_office.jpg↑内部のスタジオ部分です。

藤さんやスタッフの人はこの民家の中にテントを設置してくらしています。これってかなり面白い考え方で、家が少々ぼろくてもその中にテントを張って、さらっと快適な空間に変化させてしまうんです。普通に寝泊まりするのはちょっとなって思うような場所を、半屋外と見なしてテントを貼ってしまえば、屋外よりは全然しのぎやすい心地よい空間になります。ちょっと発想を転換して視点を変えてみると、普通の室内として生活するのはためらわれる場所が、一気に快適空間にかわるんですよね。アーティストならではの面白い空間の活用法で、僕としても目から鱗が落ちる感覚でした。

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03_tent.jpg↑室内にテント。インスタレーションみたいでかっこいいです。見た目だけでなく、とても合理的な考えに基づいた面白い展開です。


05_car_asai.jpg↑表通り側には車庫もあります。手前にあるのは水都の参加作家でもある浦田琴江さんの車らしいです。鹿児島からこの車で大阪まで来たとか、来ないとか。。。そして壁面には浅井裕介さんの作品が。

それにしてもこの藤さんのベースキャンプは本当にかっこいいですよね!
超余談ですが、僕も今新居に引っ越したばかりで、アウトドアグッズやキャンプ用品を中心に暮らしています。(笑)



06_kosuge_tyari.jpgそれから藤さんハウスの表通り側の車庫の隣には、「貸自転車基地こすげとつるむde」があります。これはkosuge1-16が地元とタイアップして壊れた自転車のパーツを集めてまとめてリペアし、自転車を再生して、滞在アーティストが此花と水都会場を行き来する際などに利用できるようにつくった、貸自転車場です。
貸自転車のシステムは下記2枚の写真をご参照ください。ちょっとしたユーモアもあっていいですね。


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08_tyari_rule.jpg↑こんなルールですが、基本的に使用者との信頼関係で成り立っています。自転車でここから水都会場までは20分強。電車で行くと30分以上かかるので、みんな重宝していたみたいです。こういうちょっとしたシステムは重要で、この貸自転車のおかげでアーティストたちは自由に動けるし、電車代もセーブできます。

09_shitamichi.jpg↑水都会場に移動する下道氏。サドルのかわいいステッチがポイントの貸自転車です。ちなみに下道氏もkosuge1-16チームのスタッフとして現場を支えておりました。


asai_endo.jpg↑また、この辺りにはアーティストが施した作品がけっこうあって、なかなか素敵です。近所の商店街の壁面には、浅井裕介さんと遠藤一郎さんのコラボレーションによる壁画が残されています。


最後に、水都大阪ではkosuge1-16チームのディレクターを務めた中崎透氏が水都期間中に個人的に実施した「中人(なかんちゅ)」というプロジェクトというか空間を紹介します。これは水都会場と目と鼻の先にある雑居ビル8階にある空間で、スタッフの慰労の場であり、参加アーティストの情報交換の場であり、プロジェクトの打ち上げや宴会用の場所であり、そして中崎氏の期間中の住処でもありました。此花区のレジデンススペースやアーティストたちの基地は非常に魅力的なんですが、水都会場からはちょっと離れていて、水都に関わっている人々が会場からすぐに足を運べて集まれる場所として、この「中人」は機能していました。別にお店として営業しているわけではないので、基本的にスタッフやアーティスト、あるいはその関係者が口コミで訪れる場所です。お昼にはボランティアサポーターやスタッフのまかないご飯を提供したり、ちょっと休憩できる場所だったりして、夜になると大阪在住のアーティストの有佐祐樹くんがシェフとして美味しいご飯をみんなにふるまう場所でもあります。トークイベントなども頻繁に開催されていて、なんだか不思議な空間でした。いわゆるマンションの一室なので、自宅感みたいなものもあってくつろげてしまうんですよね。どんなアウェイの場所でも自分なりの「ホーム」を作り出す中崎くんならではの空間でした。もしここに此花区の民家のような味があったらヤバいです。

以下「中人」の様子をちらっと公開。
↑お昼のまかない。写真右手の白いTシャツの二人はボランティアさんです。

11_nakantyu_yoru.jpg↑夜はちょうど水都の音楽イベントの打ち上げが開催されていました。偶然にも山口を拠点に世界的に活躍する"どらビデオ"の一楽儀光さんに再会!どうやらこの日のゲストだったようです。こんな感じで日々各地から面白い人々が集まってきています。

11_arisa.jpg↑みんなの夕食をつくっているのは、シェフとして料理を担当するアーティストの有佐祐樹くん

12_lecture.jpg↑トークイベントの様子

水都大阪は終了したわけですが、こういうイベントで培われる人脈や各地から入ってくる情報などの目に見えない関係がうまく構築されて、その先に繫がっていくと、面白いことになるだろうなと思いました。


ブロガー

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