2019年01月15日号
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アトリエ17

Atelier 17

イギリス出身の画家、銅版画家のS・ヘイターが1933年からパリで運営した版画工房。工房自体は27年設立だが、33年に移転した番地にちなんでアトリエ17と名づけられた。初期にはイギリスの画家・詩人J・トリヴェルヤンがアシスタントをしていたことでも知られ、工房はシュルレアリストを中心とする同時代の作家たちの溜まり場のひとつであった。ヘイターのアメリカ亡命に伴い41年からはニューヨークで再開し、先鋭的なアーティストたちに助言を与えるとともにオートマティスムや抽象表現に関する理論書を著すなど、アメリカにおけるシュルレアリスム受容および現代版画史において先駆的な役割を果たした。青年期を過ごしたフランスでシュルレアリスムの影響を受けたヘイターは実験精神にあふれ、インクの粘度の違いによって色を刷り分ける独自の一版多色刷エッチングを編み出すなど技術開発に旺盛であった。複製技術にとどまらないオリジナル・プリントを生み出す知識と熱意は多くのアーティストをひきつけ、P・ピカソ、J・ミロ、A・マッソン、M・シャガール、W・カンディンスキーらヨーロッパからの亡命作家をはじめ、W・デ・クーニング、J・ポロック、 M・ロスコ、L・ニーヴェルスンなどが作品を制作している。これら作家名からも分かるとおりアトリエ17の活動は、パリからニューヨークへ美術の拠点が移ったとするいわゆる「二都物語」とも深く関わっている。50年にはヘイターがパリへ戻って元の場所に再び工房を構え、ニューヨークの工房は55年に閉鎖。88年のヘイター没後は「アトリエ・コントルポワン」と工房名を変えて活動を継続している。

著者: 成相肇

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