2018年07月15日号
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グループ・音楽

Group Ongaku

日本で最初に電子楽器や非楽器による、旋法やリズムなどの音楽的イディオムを端緒としない非イディオマティックな集団即興を始めたグループ。ことの発端は、東京藝術大学音楽学部楽理科の学生だった小杉武久と水野修孝が主にヴァイオリンとチェロで行なっていた即興演奏で、後に塩見允枝子、戸島美喜夫、刀根康尚らが加わり、1960年8月頃にグループ・音楽が結成された。60年代は草月会館を中心に日本の前衛シーンが最も活気ある時代で、彼らの活動もこの機運を反映している。かつてダダの機関誌が『文学』と称して反体制的な活動を押し進めたのと同様、グループ・音楽は「音楽」と名乗り、保守的な体制への批判と革新的な音楽の追求を試みた。彼らの即興は、楽器だけでなく椅子や電化製品も用いて多様な音響を生み出し、音と主観・客観的なるものの両方を結びつけない聴き方、すなわちオブジェ・ソノールの概念を基本としていた。自分たちの演奏を確認するために即興はテープに録音されており、その録音をコラージュするなどして、テープ音楽も制作されていた。61年9月には彼らの最初で最後の大々的な演奏会「即興演奏と音響オブジェによるコンサート」が草月会館で行なわれるが、後に各メンバーの音楽性の相違からグループ・音楽は「発展的な解消」というかたちで、それぞれの方向性を明確に打ち出した活動が多くなっていく。小杉と刀根はイヴェントやライヴ・パフォーマンスにエレクトロニクスを取り入れた活動を行ない、舞踏などの異分野とも積極的に交流した。塩見は渡米し、フルクサスに合流してイヴェント作品に没頭する。一方、イヴェントやライヴ・パフォーマンスと若干距離をおいた水野と戸島は作曲家、理論家、教育者として活動している。グループ・音楽自体の活動はごく短期間だったものの、即興やコンピュータ音楽における彼らのフォロワーは数知れず、今もなお伝説的に語られている。

著者: 高橋智子

参考文献

  • 『日本の電子音楽 増補改訂版』, 川崎弘二, 愛育社, 2009
  • 『フルクサスとは何か 日常とアートを結びつけた人々』, 塩見允枝子, フィルムアート社, 2005

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