2017年12月15日号
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コンタクト・インプロヴィゼーション

Contact Improvisation

振付家でダンサーのスティーヴ・パクストンが始めた、重力を意識しつつパートナーと身体の接触を続けるデュエット形式が中心の即興パフォーマンス。コンテンポラリー・ダンスの主要な要素と考えられており、また合気道から影響を受けていたこともあり、武道やスポーツとの関係からダンスの可能性を考える際にしばしば参照されてきた。1972年の《マグネシウム》がその原点的作品とみなされているが、63年にトリシャ・ブラウンと踊った《ライト・フォール》はその発想において最初のコンタクト・インプロヴィゼーションの事例と考えられる。最初はオフバランスになって体を倒す「フォール」や立った状態でわずかに体を揺らし動かす「スタンド」が特徴的な動作だったが、次第に転がる動作「ロール」なども試みられ、それらの動作以外も含めたさまざまな可能性が探求された。コンタクト・インプロヴィゼーションの実践は音楽のセッションに倣って「ジャム」と呼ばれ、プロとアマチュアあるいは巧拙の区別を設けることなくジャムを行なう平等主義が重視された。75年頃には流行の兆しを見せたが、その一方で、コンタクト・インプロヴィゼーションはパクストンの手を離れ、彼の意思とは相容れない傾向が現われた。パクストンは、コンタクト・インプロヴィゼーションに対する象徴主義的、精神主義的あるいは神秘主義的な解釈を俗流として退け、接触とバランスから生じる内的な感覚へ意識を集中することを訴えた。

著者: 木村覚

参考文献

  • The Drama Review, Vol.19, No.1, “Contact Improvisation”, Steve Paxton, MIT Press, 1975
  • 『コンタクト・インプロヴィゼーション 交感する身体』, シンシア・J・ノヴァック(立木あき子、菊池淳子訳), フィルムアート社, 2000(原書1990)

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