2017年07月15日号
次回8月1日更新予定

Artwords(アートワード)

twitterでつぶやく

サイト・スペシフィック

Site-Specific

芸術作品やプロジェクトの性質を表わす用語で、その場所に帰属する作品や置かれる場所の特性を活かした作品、あるいはその性質や方法を指す。サイト・スペシフィックな作品やプロジェクトが生まれた背景として、20世紀後半に絵画や彫刻の概念が拡張され、インスタレーション、アースワーク、ランド・アート、パブリック・アート、パフォーマンス、オフ・ミュージアムといったさまざまな表現形態が生まれたことや、ロザリンド・クラウスによる彫刻、建築、風景を巡る議論などが起こったことが挙げられる。また、日本では具体的に1970-80年代のパブリック・アートに対する流行への反省があると考えられている。これらの批判に共通するのが「脱ホワイト・キューブ」「脱美術館」であり、既成の空間から飛び出したアートは、場所の固有性を重視するようになる。「場所の特性」にはその土地の環境や生活空間、歴史的、政治的、文化的な場の成り立ちまで含まれ、作家はそれらの諸条件に注目し、作品に組み込む。サイト・スペシフィックな作風で知られる主な作家に川俣正、アンディー・ゴールズワージーなどがいる。地域で展開されるアート・プロジェクトとも関わりが強く、サイト・スペシフィック志向のアート・プロジェクトの原点に、1977年から開催されているミュンスター彫刻プロジェクトが挙げられる。このプロジェクトの特徴は作品の制作や設置において、アーティストが現地に滞在しながら、市民との議論を重ねて制作をしていく「ワーク・イン・プログレス方式」を採用していることである。国内の代表例としては、越後妻有アートトリエンナーレやベネッセアートサイト直島などがある。

著者: 中山亜美

参考文献

  • 『文化経済学』30号, 「現代アートと地域再生  サイト・スペシフィックな芸術活動による地域の変容」, 野田邦弘, 文化経済学会, 2011
  • 『反美学 ポストモダンの諸相』, 「彫刻とポストモダン 展開された場における彫刻」, ロザリンド・クラウス(室井尚訳), 勁草書房, 1987
  • 『社会とアートのえんむすび 1996‐2000』, 「脱美術館化するアートプロジェクト」, 村田真, ドキュメント2000プロジェクト実行委員会、トランスアート, 2001
  • 『アートレス マイノリティとしての現代美術』, , 川俣正, フィルムアート社, 2001

参考資料

関連ワード

関連人物

▲ページの先頭へ

アートワード検索

アートワードを検索

文字の大きさ