2018年10月15日号
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シチュエーショニズム/シチュアシオニスム

Situationism(英), Situationisme(仏)

直訳すると「状況主義」。ギー・ドゥボールがフランスで創始した運動であるため、「シチュアシオニスム(仏:situationisme)」とも呼ばれる。ただし、本人たちは「シチュアシオニスト(状況派)」と名乗ってはいるものの、「シチュアシオニスム(状況主義)」という「主義」は存在しないと明言している。その中心人物であるドゥボールの思想の核心は、人々を受動的な立場へと疎外する近代の消費社会(=スペクタクルの社会)の徹底した批判にある。彼は、そうしたスペクタクルを打破する「状況(シチュアシオン)」の構築を目指して1957年に「アンテルナシオナル・シチュアシオニスト(IS)」を結成。同名の雑誌を主な媒体とし、72年の解散まで国際的な活動を展開した。1967年に刊行された著書『スペクタクルの社会』は、翌年の五月革命を先取りしたものとして驚異的な支持を得た。またドゥボール自身は、ISの結成以前にイジドール・イズーらとともに「レトリスム」という文学運動を展開し、イズーとの決別後は「アンテルナシオナル・レトリスト(IL)」を組織。また、ISの前後には『サドのための絶叫』(1952)や『スペクタクルの社会』(1973)といった実験的な映画を制作しており、その政治思想は一貫して制作実践との深い関わりのもとにあったと言える。その他、「転用」「漂流」「心理地理学」をはじめとするドゥボールの創出した概念や方法は、のちのボードリヤールやリオタールの思想、あるいは美術におけるシミュレーショニズムの実践としばしば結びつけて語られる。 また、シチュアシオニストの実践は従来ドゥボールの活動のみに即して説明されることが多かったが、一時期ISに関わったオランダの芸術家コンスタント・ニーヴェンホイスの仕事(「CoBrA」や「ニューバビロン」)をシチュアシオニストのもうひとつの潮流として再評価する機運が90年代以後高まっている。

著者: 星野太

参考文献

  • 『アンテルナシオナル・シチュアシオニスト(1-6)』, 木下誠ほか訳, インパクト出版会, 1994-2000
  • 『スペクタクルの社会』, ギー・ドゥボール(木下誠訳), ちくま学芸文庫, 2003
  • 『SITE ZERO/ZERO SITE』vol.1, 「コンスタントのニューバビロン×建築界(1)」, 南後由和, メディア・デザイン研究所, 2007
  • Constant's New Babylon: The Hyper-architecture of Desire, Mark Wigley, 010 publishers, 1998

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