2018年04月15日号
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ファウンド・オブジェ

Found-object

「見出された対象」。端的に言えば、いちど何らかの目的のもとに使用された「物」のことであり、より限定的に言えば、そのなかでも芸術作品を構成する要素として流用・転用された「物」を意味する。「ファウンド」という英語と「オブジェ」という仏語の奇妙な接合が示唆するように、この言葉はダダやシュルレアリスムにおける「オブジェ(物、対象)」を用いた制作実践と深く結びついている。実際、ファウンド・オブジェの典型的な例としてしばしば挙げられるのは、シュルレアリスムのコラージュや、クルト・シュヴィッタースの「メルツ」シリーズにおける日用品や廃棄物である。同時に、先の定義上、一般的なコラージュ作品における素材(新聞や雑誌の切り抜き)、M・デュシャンのレディ・メイド作品(《泉》における便器)、もの派において使用される物体(石や木材)も、広義のファウンド・オブジェに含めることが可能だろう。後者の定義をとれば、川俣正や大竹伸朗の作品をはじめとして、ファウンド・オブジェによって構成される作品は今日枚挙に暇がない。冒頭で記したように、本来ファウンド・オブジェという言葉は、特定の機能(使用価値)を持った物体が芸術としての機能(美的価値)を付与されたときに用いられるものであった。しかし、1960年代以降の流用、転用、シミュレーションをはじめとする新たな制作原理が明らかにしたように、そもそも「使用価値」と「美的価値」という分類自体が実は極めて曖昧なものである。したがって今日この概念について問われるべきは、当初のダダ、シュルレアリスムの含意を超えて、「見出された(found)」「対象(object)」という言葉の外縁をいかに定めるかという問題であると言えるだろう。

著者: 星野太

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