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フィジカル・コンピューティング

Physical Computing

われわれの身の回りの物理的な世界とコンピュータ上の仮想的な世界との間に対話を作り出すという分野。ニューヨーク大学のITP (Interactive Telecommunication Program) で、T・ アイゴらを中心に教育プログラムとして開始された。既存のマウスやキーボード、ディスプレイ、スピーカーといった入出力装置に、センサー、アクチュエータ、マイクロコントローラを組み合わせ、人間とコンピュータとの意思疎通の幅を拡げることがフィジカル・コンピューティングの目的である。例えば、2005年にM・バンチらがIDII Ivrea (インタラクション・デザイン・インスティテュート、イブレア)で開発を始めたオープン・ソースのツールキット「arduino」は、エンジニアリングの専門教育を受けていないデザイナーやアーティストらに、電子回路の基礎を素早く学び、わずかな投資で作品のプロトタイプを作るための手段を提供している。このような運動の背景には、M・ワイザーが提唱した「環境にすっかり溶けこみ消えてしまう」というユビキタス・コンピュータの発想、石井裕らの「デジタル情報に物理的実体をあたえる」というタンジブル・ビットの思想との関連がみてとれる。また、N・ガーシェンフェルドが主導する「消費者が生産者となり自分の欲しいものを自分でつくる」パーソナル・ファブリケーションなどは並行する運動と考えられる。2000年代後半には、世界各地のデザイン・美術教育でもひとつの分野として定着した。その代表的な例として、小林茂を始めとするIAMASの活動、M・クニアヴスキが主催する国際会議スケッチング・イン・ハードウェア、雑誌『Make』などがあげられる。

著者: 城一裕

参考文献

  • Physical Computing - Sensing and Controlling the Physical World with Computers, Dan O. Sullivan, Tom Igoe, Thomson Course Technology, 2004
  • Programming Interactivity: A Designer's Guide to Processing, Arduino, and OpenFrameworks, Joshua J. Noble, O'REILLY, 2009
  • 『Prototyping Lab「作りながら考える」ためのArduino実践レシピ』, 小林茂, オライリー・ジャパン, 2010

参考資料

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