2018年10月15日号
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リレーショナル・アート

Relational Art

関係(性)の芸術。作品の内容や形式よりも「関係(relation)」を重んじる芸術作品を総称的に示す言葉として、1990年代後半より広く用いられるようになった。ここでの「関係」という言葉は作品と鑑賞者とのあいだに生じる関係を指すようにも思えるが、この場合どちらかと言えば作品の制作過程で生じる周囲との接触関係のほうに重点が置かれていると言えるだろう。なぜならリレーショナル・アートは、ある状況や出来事を生み出す過程、およびそれにともなう人々の「参与(participation)」をその本質とするからである。この点においてリレーショナル・アートは、鑑賞に際する「作品」と「鑑賞者」との相互作用を重視するインタラクティヴ・アートとは区別される。以上の意味でのリレーショナル・アートは、フランス出身のキュレーターであるニコラ・ブリオーが90年代に開催した「トラフィック」展や著作のなかで用いたことにより、その後広く流布する概念となった。そのため、一般的にはブリオーの『関係性の美学』(1998)で挙げられているリクリット・ティラヴァーニャ、リアム・ギリック、フェリックス・ゴンザレス=トレス、フィリップ・パレーノ、ヴァネッサ・ビークロフト、平川典俊らがリレーショナル・アートの代表的な作家と目されることが多い。他方、「関係」という言葉の汎用性ともあいまって、リレーショナル・アートという言葉はブリオーによる当初の定義を越えて、何らかの仕方で社会性を主題に掲げた作品や、地域密着型のプロジェクトなどにも今日広く用いられている。

著者: 星野太

参考文献

  • L'esthétique relationnelle, Nicolas Bourriaud, Presses du réel, 1998
  • Relational Aesthetics, Nicolas Bourriaud, Presses du réel, 2002
  • 『美術手帖』2011年4月号, 「リアム・ギリックと『関係性の美学』」, 大森俊克, 美術出版社, 2011

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