2018年08月01日号
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抽象表現主義

Abstract Expressionism

1940年代後半から50年代にかけてアメリカ、特にニューヨークを中心に隆盛した芸術様式。46年に美術批評家のロバート・コーツによって命名された。バウハウスや未来派、キュビスムの流れを汲む非具象とドイツ表現主義などの激しい感情表現を基本とする。第二次世界大戦の戦禍を避けてヨーロッパの前衛芸術家たちがアメリカに多数亡命したことが直接の契機となり、抽象表現主義以降、芸術の発信地が従来のパリからニューヨークへとシフトしていくこととなる。50年代には批評家クレメント・グリーンバーグによるフォーマリズム理論の擁護を受けて大いに隆盛し、それ以降のアメリカ主導の美術という確固たる地位を築く礎となった。次第にキャンヴァスが巨大化、焦点を失い画面全体を均質に色や線が支配するようになる。キャンヴァスがイメージを再現することから逸脱し、ついには芸術家の描画行為のフィールドと認識されるに至る。ジャクソン・ポロックをはじめとするアクション・ペインティングやバーネット・ニューマンらのカラーフィールド・ペインティングも抽象表現主義に含まれる。しかしイリュージョンが徹底的に排除された結果、60年代には堅苦しく単調なものとなり影響力を失い始める。そして、対極的な具体的、大衆的イメージのポップ・アートやネオダダがアメリカ美術シーンの主流となっていく。

著者: 栗栖智美

参考文献

  • 『絵画論を超えて』, , 尾崎信一郎, 東信堂, 1999
  • 『現代美術は語る ニューヨーク・1940-1970』, , エミール・ディ・アントニオ、ミッチ・タックマン(林道郎訳), 青土社, 1997
  • 「20世紀絵画の新大陸 ニューヨーク・スクール」展カタログ, , 東京都現代美術館、読売新聞社文化事業部編, 読売新聞社, 1997
  • 『グリーンバーグ批評選集』, , クレメント・グリーンバーグ(藤枝晃雄編訳), 勁草書房, 2005

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