会期:2026/05/20~2026/07/12
会場:PLAY! MUSEUM[東京都]
公式サイト:https://play2020.jp/article/anzaimizumaru

作品「音楽とダンス」 illustrated by Mizumaru Anzai © Masumi Kishida

世田谷文学館で「イラストレーター 安西水丸展」を観たのは、もう5年前だったのか。あのときも中身の濃い展覧会で非常に満足した覚えがあるが、今回はさらにバージョンアップというか、より洗練された展覧会になっていた印象を受けた。本展は、生前「『仕事』と『あそび』を行き来しながら制作を続け」たという安西のスタイルに着目し、「あそび」の感覚をもとに500点以上の印刷物や原画、版画などの作品を紹介する内容となっていた。「あそび」というのは、想像するに自らの暮らしを存分に楽しみ、独自のライフスタイルを大切にしたということなのではないか。安西のイラストレーションには、さまざまな日常のものが登場する。例えばコーラの瓶や食品の缶、果物、ナッツ、本、絵葉書、マッチ、スノードーム、郷土玩具……。それらはすべて何気ないものであるのに、彼の手に掛かるとちょっとかわいく、格好良く、そして都会的な空気をまとう。まさに「あそび」の心があるからこそ表われる、安西流の魔法だといえる。


展示風景「イラストレーター 安西水丸展 ぼくのあそび I DRAW TO PLAY」 PLAY! MUSEUM

また、安西のイラストレーションといえば、彼が「ホリゾン」と呼ぶ一本の水平線が特徴に挙げられる。画面の中央より少し上の位置に一本の横線をすっと引くことで、画面の下半分がテーブルや出窓などの地に様変わりした。そこにさまざまなものを無造作に置いただけという描きぶりをすることで、日常の一風景を切り取ったかのような絵に仕上がったのだ。本展では、このホリゾンを大きな展示室いっぱいに使ったインスタレーションを展開。併せて、安西が幼い頃に過ごした千葉県千倉の海の映像を映し出し、両者の水平線を一体化させる試みを行っていた。これがとても開放的で心地良く、安西の原風景と作品を同時に味わう体験ができたのである。装丁や広告、小説、エッセイ、絵本、漫画など幅広い分野で創作活動をするなかで、自身にしか描けないタッチを守り続けた安西。最近、AIによる絵が大量生産され氾濫しているのに対してやや食傷気味だった私としては、この血の通ったイラストレーションに何かホッとする気持ちを抱いたのである。


展示風景「イラストレーター 安西水丸展 ぼくのあそび I DRAW TO PLAY」 PLAY! MUSEUM


展示風景「イラストレーター 安西水丸展 ぼくのあそび I DRAW TO PLAY」 PLAY! MUSEUM

鑑賞日:2026/05/28(木)