会期:[第1期]2026/06/27~2026/07/28、[第2期]2026/08/01~2026/08/28、[第3期]2026/09/01~2026/09/27
会場:印刷博物館P&Pギャラリー[東京都]
公式サイト:https://www.toppan.com/ja/joho/gainfo/graphictrial/80gts/
グラフィックデザイナーと印刷所、プロダクトデザイナーと生産工場、はたまた建築家やインテリアデザイナーと施工業者。いずれも前者がアイデアを出して図面を引く側で、後者がそれを実現する側である。どちらかといえば世間の注目は前者に集まりやすいが、当然ながら前者だけではかたちにならず、縁の下の力持ち的な存在の後者が欠かせない。理想は両者が対等な立場で協業することである。ことに著名になるほど、前者は「先生」と呼ばれがちであるが、本来、どちらが上でどちらが下ということはないはずだ。それぞれの立場で持ち前の知見と経験を生かし、互いにそれらを共有してこそ、良いものが出来上がる。
そうした点で、クリエイターと印刷会社との共創により、グラフィックデザインと印刷表現の新しい可能性を探る展覧会「GRAPHIC TRIAL」は、非常に有意義なコンセプトであると注目していた。毎回、さまざまなトライアルを経て、ポスター作品として結実させる。同展が今年で20年を迎え、この夏、これまでの参加クリエイター80組による全400作品が3期に分かれて展示される。時系列に開催年を追ってではなく、クリエイターの名前の五十音順で展示されるため、時代性やテーマ性という側面よりも、純粋に各々の作品性だけを鑑賞できるようになっている。早速、第1期の展示を観てきた。
展示風景 印刷博物館P&Pギャラリー
結局、グラフィックデザイナーをはじめとするクリエイターは、日頃の仕事を通して印刷に携わっているものの、印刷技術について深くまで知っているわけではない。むしろ日頃から携わっているからこそ、何かしらのモヤモヤが心の底に眠っているに違いない。同展ではそれを吐き出し、解消するための実験や、普段では絶対にできないけれど、一度やってみたかった試みがあらわにされる。第1期で印象的だったのは、印刷の網点に着目したクリエイターが何人かいたことだ。やはり印刷技術で行き着くところは網点なのである。私も初めてルーペで印刷の網点を確認したときの衝撃は忘れられない。ミクロの世界に潜むドットの集合体によって、私たちは色を認識しているのかと思うと、なんとも不思議な気持ちになった。クリエイターらはそのドットさえ自らデザインしたいと望むのだ。彼らの果てしない創造性は、あくなき探究心によって支えられていると痛感した。
鑑賞日:2026/06/30(火)