小吹隆文/福住廉 |
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7/14~7/19 |
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藤本由紀夫展[関係]
【part 1】7/14~9/2、【part 2】7/14~9/24 和歌山県立近代美術館[和歌山] |
3館同時個展のラストを飾るのは、コラボ作品を集めた展覧会。しかも旧作による《Fujimoto and》と杉山知子との2人展《ハッピー・コンセプチュアル》の2本立てである。特に後者では藤本は受けに回り、展覧会そのものを作品と見立てている点がユニークだった。難易度では本展が一番上というのが筆者の実感。西宮~国立国際~和歌山と体験することで、ビギナーからコアなファンへと昇格できる3部作だった。1人で3美術館同時個展なんて、過去に例があるのだろうか。ともかく、アーティストにとってこれほどの贅沢はないだろう。
[7月14日(土) 小吹隆文] |
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片口直樹展──つもりつもれば
7/16~8/4 信濃橋画廊[大阪] |
作品にいつまでも筆を入れ続けてしまう。塗り重ねている時が実は一番充実している。そんな気持ち、大抵の画家が共感できるのでは。一枚の絵画に積層された時間をすべて見てほしいと思った片口は、制作過程を撮影して完成した絵画に投影するインスタレーションを発表している。描かれた順にゆっくり姿を変えていく映像は、画面の筆跡と共鳴して妙に生々しい。モネの連作を想起させると同時に、平面表現の新たなスタイルが垣間見える個展だった。
[7月16日(月) 小吹隆文] |
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Ukulearium──建築物ウクレレ化保存計画/伊達伸明作品展
7/17~29 アートスペース虹[京都] |
建物が取り壊される際に、廃材をウクレレにして思い出を遺す。伊達伸明がこのハートウォーミングなプロジェクトを始めて早7年。今回は保育園、ホール、個人宅、教会などから作られた近作8本が紹介された。展示は毎回定型フォーマットだが、1本1本に家主の深い思い入れが宿るだけに非常に見応えがある。現代アートが排除したがるストーリー性を無理なく取り込むことで、表現と感動の幸福な同居を実現させた稀有な成功例である。
[7月17日(火) 小吹隆文] |
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中島俊市郎展 -sign-
7/14~8/4 studio J[大阪] |
プラスチック素材を用いたオブジェとジュエリー100数十以上を出品。ジュエリーに関して無知な私は「何だかルアーみたい」と勘違いしつつ鑑賞。中島の狙いはステイタスや資産価値とは無縁な、純粋な“飾り”としての装身具。同時に、あくまで工芸品として実用を旨とすることが目指されている。とはいえ、作家名が前面に出る時点で職人仕事とは異なる訳で(本人も承知だろう)、美術と工芸の線引きという難問を浮き彫りにすることにもなった。
[7月18日(水) 小吹隆文] |
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La Chaine──日仏現代美術交流展
7/6~8/26 BankART 1929 Yokohama BankART Studio NYK[東京] |
クリスチャン・ボルタンスキーがセレクトしたフランス人作家4人と、かつてボルタンスキーに師事したという松本春崇が選んだ日本人作家4人と、それぞれの本人を含めた、10人による展覧会。特にテーマは設定されていないものの、それぞれ見応えのある作品を見せている。ボルタンスキー本人による映像インスタレーションは、指名手配犯のような顔写真が次々と移り変わっていく映像と、日本語で時報を延々と読み上げていくナレーションが組み合わせられたもので、BankART 1929のクラシカルな空間を巧みに使いこなしていた。別会場の倉庫では、昆虫や動物の生態を執拗な視線で追跡したアンジェリカ・マルクルの映像作品が秀でていた。
[7月19日(木) 福住廉] |
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