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プライバシーステートメント
展覧会レビュー
小吹隆文/福住廉
9/4〜9/5
自画像の証言
8/4〜9/17 東京芸術大学美術館陳列館[東京]
東京芸術大学美術館陳列館
「じじいばばあは本当に面白い」。卒業とともに大学に提出された自画像の歴史を回顧的に振り返る展示を見ていて感じたのは、何よりもこのひと言に尽きる。強烈で繊細な自己意識が発露された自画像は、見ていて痛々しく、こそばゆく、だからこそ面白い。それが80年代くらいから、次第にストレートに自画像を描くというより、モノとしての代替物をもってして自画像とする輩が目立ち始め、そのいかにも現代美術的なひねくれた根性が、底知れぬ苛立ちを覚えさせる。それは現代美術の理論が無邪気な学生をだまくらかすことに成功したというより、むしろアーティストの卵たちのキャラが年々薄くなってきていることをほのめかしている。自画像を描くより前に、自画像を描くに足る自我を鍛え上げなければならないのだから、アーティストにとっては困難な時代であり、見るほうにとっては退屈な時代だ。
[9月4日(火) 福住廉]
植松美早展 起きて半畳寝て一畳/二宮幸司 立体造形展
9/4〜9 ギャラリーはねうさぎ[京都]
ギャラリーはねうさぎ
「起きて半畳、寝て一畳」という言葉をテーマにした2人展。テーマとアーティストのセレクトは画廊が行なった。植松は人形の家を思わせるテント状の小屋を布で制作。その小屋を野外に設置して、友人達と過ごした記録写真も展示した。一方、二宮は巨大な電子レンジを制作。内部は囲炉裏になっており、実際に料理もできる凝った作りだ。アーティストの個性や性別、年齢などの差異がひとつのテーマの下でくっきり示された興味深い企画だった。そしてシンプルに面白かった。
[9月5日(水) 小吹隆文]
今井康雄展
9/4〜15 石田大成社ホール[京都]
石田大成社ホール
漆黒の空間を背景に花一輪を描いた精神性の高い絵画作品で知られる今井康雄。今回は、それら現在の作品と対比するように、約10年前に留学先の英国で描かれた作品が出品された。木炭で描かれた連作はルドンを思わせる幻想性豊かな世界で、公園の花を描いた油彩画はフォルムより色彩の乱舞が強調されている。一見現在とは随分異なる作風だが、本人曰く「エッセンスを抽出するための方法が違うだけで、根底に流れるものは同じ」とか。一作家に通底するテーマ性とそれを具現化するためのヴァリエーション、両方を見られる貴重な機会だった。
[9月5日(水) 小吹隆文]
高橋りく「太陽の椅子」
9/3〜9/15 Gallery Q[東京]
Gallery Q
ホワイトキューブのギャラリーの中に、同じように真っ白なキューブ状のソファ。そこに腰掛けて、耳たぶにクリップを挟むと、室内に設置されたスピーカーから心拍音が鳴り響くという仕掛け。
[9月5日(水) 福住廉]
都市との対話
9/1〜9/17 BankART Studio NYK ギャラリーB[神奈川]
BankART Studio NYK ギャラリーB
若手キュレーター橋本誠が若手作家7人を集めた展覧会。展示空間を丸ごとプラレールで埋め尽くしたパラモデルや都市の断片的な写真をコラージュした西野壮平、漆黒に輝く壁面によって見る者の姿を反映させた塩津淳司が目を引いた。彼らがそれぞれ異なるかたちで提起しているのは、都市のあるべき理念に沿って現実の歪みを矯正することなどではなく、その歪みを歪みのまま生きるポストモダン的な不安である。西野によるコラージュ写真は、現在の都市空間のグロテスクなありようを顕著に示しているが、それは断片的な記号を集積させることでしか全体像をとらえることができない現在の都市空間の特質を的確にとらえているし、パラモデルによるプラレールは無限増殖する都市空間のおぞましい力を反映している反面、そのレールの末端がつねに行き止まりであることから、行き場のない閉塞感をも暗示している。黒光りする表面をわずかにスクラッチした塩津の大規模な平面インスタレーションは、その前に立つ観覧者の全身を映し出すが、それは大した展望もないまま暗闇のなかで佇むほかない都市生活者そのものにほかならない。どのような到達点を仮設するにしろ、「対話」はこのような暗中で交わされてはじめて「対話」となりうるだろう。
[9月5日(水) 福住廉]
Index
8/20〜8/25
鉄秀個展美粒子
グチック考13
大阪もーりもり、森村泰昌、釜ヶ崎ロケを語る
フィールド・キャラバン計画
LET'S GET LOST 私は何かの間違いで詩集を造ったりはしない
8/30〜9/1
今度は武者絵だ!
上妻勇太/永田幹/2人展 skip
トリオフォープレゼンツ 佐藤修悦展
田中朝子展 pool
神話創生
9/4〜9/5
自画像の証言
植松美早展 起きて半畳寝て一畳/二宮幸司 立体造形展
今井康雄展
太陽の椅子
都市との対話
9/10〜9/12
加藤悦郎展
ロートレック展 パリ、美しき時代を生きて
光島貴之展 言葉によって広がる絵
高田竹弥展 時間ノ園
森口ゆたか展「touch」
9/15〜9/21
グラウンド、ルーツ、エアー
的場光晴展
石塚源太展
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