小吹隆文/福住廉 |
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9/21〜9/23 |
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三俣元──光の午後
9/17〜22 ギャラリー山口[東京] |
渋谷の若者たちを写し出したモノクロ写真の展覧会。ストリートでのスナップ写真と路上の簡易スタジオで撮影したというポートレイトが展示されていた。デコレイティヴなファッションに身を包んだ今時の若い男女はいかにも現代的で、若者ならではの精神的な危うさや脆さを感じさせるが、その一方でスナップ写真に限れば、画面の中心点がいずれも臍の位置に合わせられているため、構図は力強い。これは、三俣が8×10インチの大型カメラを腰にくくりつけて街中を練り歩きながら撮影しているためだという。こうしたパフォーマティヴな撮影手法は、街中で効果的にスナップ写真を撮影するために編み出された秘策というより、むしろ弱く儚い対象を壊れないようにしっかりととらえようする、この写真家の丁寧で真摯な矜持の現われのように思われた。
[9月21日(金) 福住廉] |
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酒百宏一──銀座の賜物
9/3〜26 INAXギャラリー2[東京] |
銀座の街をフロッタージュした作品。その痕跡を見ると、たしかに古さと新しさが混在した銀座の街並みが浮かび上がってくるかのように見えなくもない。けれども、対象の色と同じ色の画材で写し取っているため、表面のテクスチュアのちがいより色合いのちがいに眼が行ってしまい、どちらかといえば絵画的な作品のように見てしまいがちだった。フロッタージュの可能性を最大限活かすのであれば、一色に限定した上で、テクスチュアの文様をしっかりと見せるべきだったように思われる。だからといって岡部昌生のように黒で統一すれば事足りるとは思わないけれど、かつて『CET04』という展覧会で、RATというグループが神田の街を(どういうわけか)赤い色鉛筆だけでフロッタージュして、採取した600枚以上の断片的データの集積によって迫力ある展示を見せつけたことを思い出した。
[9月21日(金) 福住廉] |
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都市との対話
9/22〜10/7 神戸アートビレッジセンター[兵庫] |
「都市」をテーマにした若手7人のグループ展。横浜のBankARTで行なわれた後、神戸に巡回した。作品を大まかに分類すると、都市の荒廃や無秩序な増殖に言及するもの、そうした状況を逆手にとってクールに洗練させたもの、個人的興味へと回帰するものがあったように思う。山下律子、西野壮平、パラモデルは最初のグループ。塩津淳司は2番目。岩田とも子、カトウチカ、狩野哲郎は最後のグループといったところか。いずれも切れ味のよい作品だが、皆大なり小なり都市からプレッシャーを感じているみたいで、見ていてちょっぴり切なくなった。
[9月22日(土) 小吹隆文] |
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ミオ写真奨励賞2007入賞作品展
9/22〜10/4 天王寺ミオ[大阪] |
10年目を迎えた写真の公募展。奨励賞(グランプリ)を獲得したオノナホヨの《泡空(あぶくそら)》は仏教の伝統行事を取材したもの。総天然色のような空の色と構図が独特で、日常と非日常が交錯する一瞬を美しく切り取っていた。他には、山の頂上まで住宅が密集するメキシコシティを空撮したパブロ・ロペス、末の弟への愛情を滲ませた山根寿子、男の仕事と思われがちな業種で活躍する女性たちを追った川又愛が印象的。また今回は、過去の受賞者から個展の企画を募集。多田ユウコの《山遊鹿々人々図》が選ばれ、同じ会場で展示された。10年も公募展を続ければ受賞者のストックは相当なもの。賞を与えるだけでなく継続的にフォローすることで、本展の意義も増すというものだ。今後レギュラー化されることが期待される。
[9月23日(日) 小吹隆文] |
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