村田真/酒井千穂 |
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10/12~10/13 |
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柴田美春展「Complex」
10/7~10/12 GALLERYはねうさぎ room1[京都] |
「Complex」をキーワードに、自らの身体を被写体にした写真作品を発表していた。体型や外見へのコンプレックス、その連鎖がもたらすさまざまな恐怖心や不安は、私を含め世の中の多くの女性が抱えているものだと思う。故にこのようなテーマや作品は劣等感を共感要素にして、観る側に媚びるような表現にもなりやすい気がする。けれど柴田の作品からはそんなネガティヴな要素にもイヤラシさが感じられない。見る角度によっては読み取れないし、ぱっと見るだけでは気づかないほど目立たないが、いくつかの作品表面には心に潜めた思いを書いた短い文章が小さく記されていた。自らの自信のなさやコンプレックスを受け入れ、ありのままの美しさというものをなんとか肯定しようとする姿勢もうかがえるが、なによりも自らを内観する等身大の視線と葛藤が垣間見える作品でなんとも清々しかった。
[10月12日(日) 酒井千穂] |
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井関未央展「born」
10/7~10/12 GALLERYはねうさぎ room3[京都] |
テーブルに小さな25個のオブジェが並んでいた。たまごの形をしているが、釉薬でつくったというそれらは被子植物の花の部分に似ていて、中に陶製の雄しべのようなものが密集している。ガラス質の釉薬を分厚く焼いているのだが、そこに現われる無数のヒビや気泡が繊細で脆弱なイメージで、なんとなく宝石のよう。誕生や発芽の瞬間を表現してみたかったというが、その時を迎える喜びや尊さも感じられる美しい作品だった。
[10月12日(日) 酒井千穂] |
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河合晋平展「Live Rock」
10/7~10/19 GALLERYはねうさぎ room2[京都] |
擬態をテーマに、生物やその生態系に見立てた作品を制作してきた河合の新作展。「生物」に対しての「存在物」の世界として、これまでにバターロールやショートパスタなどの食材も用いて、さまざまな「存在物」の“種”を展開、発表してきたが、今回は、海岸に流れ着きゴミと化していた発泡スチロールのかたまりを“ライブロック”に見立てた作品をインスタレーションしていた。廃棄物という最初の使用目的や意味が消失したモノが、新たな生態系の基盤として再生するこの物語世界では、電気の蛸足コードやPCのマウスのパッケージもひとつの生命体になってしまう。次回はどんな風に展開するのかまた楽しみだ。
[10月12日(日) 酒井千穂] |
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TAMA VIVANT 2008 イメージの種子
10/10~16 みなとみらい駅地下3階コンコース[神奈川] |
多摩美の芸術学科学生による展覧会も25年目を迎えたそうだ。コンコースの床と壁の片面を使った展示は一見すっきりしているが、実のところわかりにくい。まず、今回のテーマ「イメージの種子」は、芸術家のインスピレーション源を探るといった趣旨で、これまでの「TAMA VIVANT」展の出品作家に声をかけ、ドローイングを出してもらったという。それはいい。わからないのは、それとは別に荒木一真、郭仁植、海老塚耕一の3人が選ばれ、ドローイング以外の作品も出品していること。なぜいまさら物故作家やゼミの担当教授が入っているのか? テーマの「イメージの種子」とこの3人の作品とのつながりはあるのか? それとは別に学生3人が出品しているのも不可解だ。さらに、「あそびじゅつ」なるワークショップの記録写真も展示してあって、見るほうは混乱するばかり。
[10月13日(月) 村田真] |
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レッド
10/11~11/2 ZAIM別館4階[神奈川] |
ダダン・クリスタント、フランシス真悟、カトウチカら内外6人の赤い作品を集めた展覧会。赤ほど象徴的な色もないが、床に石膏を盛り上げて赤いヒモを張り巡らせたダダン・クリスタントや、長大な紙に赤い帯を描いて円筒形に丸めたフランシス真悟を除いて、あまり赤である必然性が感じられない。ハマトリのヘルマン・ニッチ(血)やポール・マッカーシー(ケチャップ)も連れてくればよかったのに。
[10月13日(月) 村田真] |
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