村田真/酒井千穂 |
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10/23 |
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フェルメール展:光の天才画家とデルフトの巨匠たち
8/2〜12/14 東京都美術館[東京] |
わけあってもういちどフェルメール展へ。着いたのは開館30分後の9時半、まだ行列もなくさほど混雑してなかった。最初のフロアをスルーしてまっすぐフェルメールの部屋へ。初期の《マルタとマリアの家のキリスト》と《ディアナとニンフたち》の2点は、まだフェルメールらしさが表われておらず、また両者に共通項も少なく、とくに後者に関してフェルメール作を疑問視する論者もいる。だが、今回よく見比べてみたら、前者の中央のマルタの顔と、後者の右上のニンフの顔がよく似ているのだ。わりと特徴的な顔なので、作者は同じ、つまりフェルメール(またはどちらもフェルメールではない)と考えるべきだろう。11時ごろ出ると、すでに30メートルほど列ができ、30分待ちだという。開館直後がアナだ。
[10月23日(木) 村田真]
こんなにも纏まった数を見られる機会はもうないだろうと昨年から今展を楽しみにしていた両親も大感激というほどではなかった様子だが、激しい雨が断続的に降る日だったせいか予想よりも会場は混雑しておらず、意外とゆったりそれぞれの作品の前に立つことができたことが何より満足だったよう。《リュートを調弦する女》は想像以上の絵の具の剥落と褪色だったが、そんなコンディションのせいが大きいのか、室内に射し込む光の描写は展示作品の中ではもっとも微妙で繊細に感じられ、かえって印象深いものだった。
[10月24日(金) 酒井千穂] |
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線の巨匠たち
10/11〜11/24 東京芸術大学美術館[東京] |
上野から谷中に抜ける途中、立ち寄った。アムステルダム歴史博物館所蔵の素描と版画。もちろんフェルメールはない。そのかわりルーベンスとレンブラントがある。油彩画だと贋作だったり弟子の手が入っていたりする可能性があるけど、素描だとその心配が少ないので、コレクション・アイテムにはいいかも。
[10月23日(木) 村田真] |
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米林雄一展
10/17〜11/3 東京芸術大学美術館[東京] |
上記《線の巨匠たち》を出ようと思ったら、いつのまにかこの展覧会場に迷い込んでいました。すいません。2〜3点ちょっといいなと思ったら、みんな初期の60年代の作品でした。すいません。
[10月23日(木) 村田真] |
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第4回「アトリエの末裔あるいは未来」展
10/17〜26 旧平櫛田中邸[東京] |
チラシをパッと見たら具象の木彫ばかりだったので、一瞬ためらったが、行って本当によかった。まず平櫛田中邸自体、木彫魂が染みついてるような風情なので、どこに作品を置いてもサマになる。というか、ここはやはり具象の木彫が生命を得たようにいきいきと映える。とくに人物彫刻は、どれも座敷わらしのようにぴったりハマっている。逆に米林雄一の抽象彫刻はひとり浮いていた。ほかに、戸谷成雄がネコを彫ったみたいな横山雄司、ランジェリーのようなクラゲや、ダイバーの口から吐き出す泡を彫った足立仁史、ロケットが噴煙を吐いて進む熊野大輔、とりわけためらい傷の跡に金を埋めた井浦千砂の片腕像は、さりげなく不穏なインスタレーションもさることながら、ウッドカットでリストカットを彫るという木彫の原点にも肉迫する彫りの深さがすばらしい。
[10月23日(木) 村田真] |
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地下室の残像
10/19〜26 ZAIM本館地下[神奈川] |
平櫛田中邸は木彫を引き立たせる稀有な場所だが、ZAIMの地下空間はそれ自体の自己主張が強く、残念ながら作品を食ってしまう。ということがわかる展覧会。
[10月23日(木) 村田真] |
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ボストン美術館:浮世絵名品展
10/7〜11/30 江戸東京博物館[東京] |
写楽の役者大首絵をはじめ、鳥居清信や喜多川歌麿の版本など、じつに盛りだくさんの内容とヴォリューム。それだけに来場者の人数もすごかったが、展示資料もこれまでに見たことのないほどの数量だったので、鑑賞の渋滞とそのストレスもなく堪能できた。資料のほとんどが日本初公開だとのことだったが、ほとんどの展示作品の色彩は今までに見た浮世絵のどの展覧会よりも鮮やかで、浮世絵ってこんなにも美しいものだったのかとその抜群のコンディションに感動。描かれた着物の柄や模様、繊細な筆の運びなど、すべてを細部までじっくり見ていると時間が足りない。
[10月23日(木) 酒井千穂] |
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