2019年09月01日号
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アルゴリズム建築

Algorithmic Architecture

アルゴリズム建築とは、情報処理技術を用いた、解像度の細かい離散過程を伴う設計の手法で、自然と人間の関係、自然と作為=人工的な構築の関係を再び定義し直すものである。自然は無限の連続体であるのに対して、そこにデザインの過程で人間の解釈が加わると必然的にその自然は有限の要素へと「離散化」される。複雑で精妙な様態を持ち、どこまでが現象の境界の区分なのか明確には判然としない流動的な自然そのものの風景を指して、人間は1、2、3……などの自然数を用いて事物を数え認識するが、この行為こそがいわゆる「離散化」過程の本質である(離散は連続体としての自然を有限の要素へとばらばらにするという意味で捉えると分かりやすい)。この離散化過程は、有史以来きわめて解像度の粗い状態での自然の理解として、人間と自然の関係を規定してきたと言えるだろう。ギリシャ時代の幾何学から始まり、近代のデカルト的な均質空間に至る空間と建築の歴史、設計の歴史は、まさにその解像度の粗い離散化過程の産物であると言えるだろう。それに対してアルゴリズムとは、同じく自然を離散化して理解するための方法でありながら、従来の近代までの解像度の粗い離散化過程とは異なり、より解像度の細かい自然の離散化を行ない、連続体としての自然そのものへと限りなく近づこうとする試みである。おそらく私たちは連続体としての自然そのものへは到達できないようになっている。しかし、高度な情報技術を駆使して解像度の細かい離散過程を取り扱うことにより、さらにはその離散化された要素を複雑なネットワークへと編みかえることによって、離散的な人工物でありながら、連続体としての自然の限りない豊かさへと近づくことが、可能かもしれないという企図が、アルゴリズム建築運動の通奏低音をなしているのだ。

著者: 柄沢祐輔

参考文献

  • 『10+1』No.48, 特集=アルゴリズム的思考と建築, INAX出版, 2007
  • 『10+1』No.49, 「アルゴリズミックな空間とは何ですか?」, 柄沢祐輔, INAX出版, 2007
  • 『アルゴリズミック・アーキテクチュア』, コスタス・テルジディス(田中浩也監訳), 彰国社, 2010
  • 『アーキテクチャとクラウド 情報による空間の変容』, millegraph, 2010
  • 『設計の設計』, INAX出版, 2011

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