2019年08月01日号
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ゴシック・フューチャリズム

Gothic Futurism

ニューヨーク市出身のアーティスト、グラフィティ・ライター、ヒップホップ・ミュージシャンであるラメルジー(1960-2010)が提唱した創作理論。1979年に発表された初期の論文「ICONIC TREATISE/GOTHIC FUTURISM/Assassin Knowledges of the Remanipulated Square Point/One to 720°」がその思想の出発点である。カソリック教会による文字のコントロールや辞書の編纂、宗教意識の発展などが生みだしたさまざまな領域における制度性とそのメカニズムを暴くラメルジーの哲学は、イタリア人とブラック・アメリカンの両親のもとに育ち、カソリックの背景を持ちながらブラック・ムスリムに入信し、またサイエンス・フィクションを空気のように呼吸するなかでグラフィティ・レタリングを「武装する文字」として捉えた、彼独自の世界観と分かちがたく結びついている。第二次世界大戦時のドイツ軍戦車に由来する「パンツァーリズム(Panzerism)」などの造語や、アルファベットを用いた方程式が随所に散りばめられたこの理論は、ラメルジーの存命中つねに拡張しつづけ、後の草稿には自作のアートワークがふんだんに挿入されてもいる。「社会における文字の役割のかき換え」という独特の思考には、グラフィティ・ライターとして、また、アメリカ合衆国におけるマージナルな存在として生きた彼の経験が十全に反映されていると言えるだろう。

著者: 大山エンリコイサム+荏開津広

参考文献

  • 『Rammellzee: Acts of Terrorism』(Art Random 36), , 都築響一編, 京都書院, 1990
  • アゲインスト・リテラシー ─グラフィティ文化論, , 大山エンリコイサム, LIXIL出版, 2015

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