2019年12月01日号
次回12月16日更新予定

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ストップモーション・アニメーション

Stop Motion Animation

人形などの立体物をコマ撮りすることによって制作されるアニメーション。和製英語で「パペット・アニメーション」と呼ばれることもある。ストップモーションの技法自体は、映画の黎明期からトリック撮影を用いた映画に取り入れられていた。ストップモーションの祖としては、1910年代からロシアとフランスで主に活躍したラディスラフ・スタレヴィッチの存在が挙げられる。また近年では、バレエ教師であったアレクサンドル・シリャーエフの人形アニメーション作品が1900年代にすでに作られていたことが判明している。作品としてのストップモーション・アニメーションは、戦後、共産圏において大きな発展を見せた。ストップモーションは多くの人員と技術の伝承が欠かせないが、国営のスタジオであれば、採算を気にすることなく規模を維持できるからだ。国営の大スタジオとしては、チェコやロシアのものが著名だった。資本主義圏においても、国営スタジオのあるカナダやテレビ局およびアート・カウンシルの支援が手厚いイギリス、資本主義体制に転換後もアニメーションへの助成が豊富なエストニアも、コンスタントに人材を輩出している。日本やアメリカなどアニメーション産業が成立している国では、教育映画やCMなどを手掛ける個人プロダクションなど小規模〜中規模のスタジオがストップモーションの主な担い手となっており、日本であれば岡本忠成、川本喜八郎、アメリカでウィル・ヴィントンなどがその代表的な作家である。ヘンリー・セリックもまた、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』(1993)や『コララインとボタンの魔女』(2009)など、ハリウッドにおいて長編人形アニメーション映画を制作しつづけている。近年の3DCGアニメーションにおけるテクスチャー表現の進歩や人形とCGのハイブリッド表現の開発(ティム・バートンの『コープス・ブライド』が代表的な試みとして挙げられる)という流れによって、ストップモーション・アニメーションの占める位置は相対的に低下しつつあるが、逆に、手工芸的な手触り感を強調するような人形の利用や反自然主義の方向性の探求(ステファン・オビエとヴァンサン・ パタールによる「パニック・イン・ザ・ヴィレッジ」シリーズ)など、ストップモーションならではの表現を活かした作品も作られ続けている。

著者: 土居伸彰

参考文献

  • 『人形(パペット)アニメーションの魅力』, おかだえみこ, 河出書房新社, 2003
  • 『川本喜八郎 アニメーション&パペット・マスター』, 川本喜八郎, 角川書店, 1994

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