2019年08月01日号
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チョロ・スタイル・グラフィティ

Cholo Style Graffiti

1970年代以降、米国の主に大都市で生まれ育った新世代のチカーノをチョロ(Cholo、男性)/チョラ(Chola、女性)と呼び、彼/彼女らによるグラフィティを指す。チカーノとは広義でメキシコ系アメリカ人のことであり、もともとは社会的に虐げられる存在としてネガティヴなニュアンスが強かったが、60年代にチカーノ運動が活性化して以来、民族的・文化的アイデンティティを託した言葉として肯定性を獲得していく。チカーノ運動は自らの文化的様態の起源としてしばしば、30年代末から40年代にかけて生まれたメキシコ系アメリカ人の若者によるパチューコ(Pachuco)文化を参照したが、チョロ/チョラとその親世代のチカーノの関係は、パチューコ世代とその親世代のメキシコ系アメリカ人の関係にある程度まで似ており、その共通点として若者によるサブカルチャーが独自の文化形態を形成した点が挙げられる。チョロ・スタイル・グラフィティには、「プラカ(Placa)」と呼ばれる、刷毛などを用いてかかれる梵字にも似たパチューコのグラフィティ様式と、70年代にニューヨークを中心に東海岸で発展した、主にスプレー塗料やマーカーなどを用いてかかれるモダン・グラフィティの両者の影響が見られる。また、モダン・グラフィティの登場以降しばらくは、ヒップホップ文化の流行とともにニューヨーク・スタイルが世界的に認知されたのに対し、チョロ・スタイル・グラフィティは同様の注目をなかなか得ることがなかったが、90年代中盤以降はチャールズ・“チャズ”・ボヨーケズなどの著名アーティストの活躍により存在感を放っている。また、チョロ・スタイル・グラフィティを記録した最初期の資料としてジェリー&サリー・ロモツキーによる『ロサンゼルス・バリオ・カリグラフィー』(1976)がある。

著者: 大山エンリコイサム+荏開津広

参考文献

  • 『21世紀のアメリカ美術 チカーノアート 抹消された〈魂〉の復活』, 加藤薫, 明石書店, 2007
  • Los Angeles Barrio Calligraphy, Jerry Romotsky and Sally R. Romotsky, Dawson's Book Shop, 1976

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