2019年08月01日号
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ハイブリディティ

Hybridity

異種混交性。異質な要素が混じり合いながら存在していること。「ハイブリッド」という言葉そのものは、生物学、電子工学、情報科学をはじめとするさまざまな学問分野に見ることができる。芸術を含む広義の文化現象における「ハイブリディティ」が問題とされるとき、そこで想定されているのは、複数の言語や慣習によって構成される個人や社会の存在である。例えば、両親の第一言語や文化的背景を異にする子どもがその成長過程で持つことになるアイデンティティは、そうでない子どものアイデンティティよりもハイブリッドなものである可能性を有する。また、人種や宗教を異にする人々が共存する社会集団は、それらを同じくする人々からなる社会集団よりもハイブリッドな存在であると言える。ただし、ここで若干の留保を付けておくならば、ある個人や社会集団が多かれ少なかれ異質な要素からなるものであることは言うまでもない。また、同じ「ハイブリッド」という言葉で括られる存在であっても、それが積極的に選び取られたのか、やむをえない事情によってもたらされたのかによってその意味合いが異なることは明らかである。いずれにせよ、20世紀後半に加速化した文化や経済のグローバル化によって、人々の居住地や文化的なルーツはかつてなく流動化しつつある。それに伴い、ハイブリディティという存在様態がますます多くの注目を集めるようになっていることだけは確かである。

著者: 星野太

参考文献

  • 『リキッド・モダニティ 液状化する社会』, ジグムント・バウマン(森田典正訳), 大月書店, 2001

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